一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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米国医療機器・IVD工業会

寄付に関するガイドライン

寄付に関するガイドライン

(2021年4月6日制定)

1.はじめに

従来、産官学連携の活性化を、「科学技術基本計画」の一つの柱とする国の方針のもと、民間事業者と学術機関の連携活動がすすめられてきましたが、これが盛んになればなるほど、医療機関・医療関係者が特定の事業者・製品に深く関与する機会が生じることもあり、それら連携活動が、医療機関・医療関係者の判断に何らかの影響を及ぼしているのではないかとの懸念が示唆されてきました。

そのような中、ある大学が特定の事業者との利益相反関係(Conflict of interest)について公表していなかったという事実が報道されました。

これを契機に行政主導による「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」が発足し、後の臨床研究法の公布に至っています。

一方、医療業界・大学側共に、この寄付による利益相反の問題に対処するべく、2011年には日本製薬工業協会が、2012年には日本医療機器産業連合会が、それぞれ企業活動における医療機関等への資金の支払に関する情報公開のガイドラインを策定し、各工業会参加事業者に対し、寄付の情報公開を促しました。また、国立大学病院側でも、国立大学附属病院が、公的機関として、企業等からの資金提供状況に係る透明性を確保し高い倫理性を担保した上で、社会の理解と協力を得て産学官連携活動の適正な推進が図られることを目的として、平成26年に国立大学附属病院長会議で「企業等からの資金提供状況の公表に関するガイドライン」を策定し、多くの国立大学が企業等からの資金提供状況を公表して透明化を図ってきました。

しかしながら、寄付をめぐって特定事業者と医療機関・医療関係者間の利益相反あるいは癒着が疑われる事案がいまだに後を絶たないのが現状です。

そこで、こうした現状を踏まえ、改めて、産官学連携が求められる趣旨や寄付を行うことの意味をAMDD会員各事業者が認識し、医学、医療の発展に貢献すべく大学に資金拠出を行うにあたり、より一層の透明性を担保するための一助とすべく、本ガイドラインを制定することとしました。

前述した通り、日本では、産学官連携施策の一環として、多くの研究機関の主体となる大学や医療機関等から民間事業者に対して寄付の募集が行われています。寄付は本来、取引に関係なく無償で金品を提供することですが、実態として、医療機器・IVD業界が行う寄付の相手先の多くは、医療機器・IVD事業者の取引先でもあることから、寄付を名目とした不当な金品の提供を行う恐れがあることは否めません。そのため、その予防措置として、本ガイドラインが、各事業者が適正な寄付を行うための指針を策定するための一助となることを期待しています。

2.本ガイドライン使用にあたっての注意点

本ガイドライン制定の目的は、AMDD会員事業者が寄付を行う際に、寄付を行うことの意味を正しく理解したうえで、第三者から取引誘引とみなされることのない、望ましい寄付のあり方についての参考となる一つの指針を示すことにあります。

なお、本ガイドライン使用にあたり、以下の事項に注意してください。

  1. 本ガイドラインは、あくまで寄付を行う際に各社で作成する業務手順の参考となるもので、AMDDとして本ガイドラインの実施を義務付けるものではありません。寄付を行うことの目的と意義を正しく理解し、各社で積極的に不正防止に取り組むことが重要です。
  2. 本ガイドラインは、大学に対する奨学寄附金を対象としています。しかしながら、それ以外の寄付についても、事業者は適切に寄付を行うための業務手順を別途構築する必要があります。
  3. 規約をはじめとする、本ガイドラインに関係する法律や基準は、今後適宜改定されることが予想されます。本ガイドライン作成日時点の各基準には対応させていますが、新たな法律や基準の制定、あるいは現行の法律や基準が改定された場合には、各社自身において、当該新規・改定の法律や基準に合わせた各社での業務手順見直しが必要となります。
  4. 寄付については、規約の「寄付に関する基準」で細かく規定がされています。本ガイドラインに基づき寄付を行う場合であっても、規約の「寄付に関する基準」を必ず遵守し、規約に関して疑問がある場合には、医療機器業公正取引協議会に相談することをお勧めします。

3.ガイドライン

社内体制

(解説)

取引誘引目的で寄付を行うことは規約でも禁じられており、また、FCPA違反となる恐れもあります。そのため、寄付を行う際には、寄付による金銭拠出が取引誘引目的で行われているものではないことを確認できる社内体制とプロセスを構築し、取引誘因目的での寄付を防止し、かつ第三者からそのような懸念をもたれる恐れを低減させる必要があります。

それら寄付を行う際の社内体制とプロセスを定めた社内規程と社内標準手順(SOP)を書面化しておくことで、寄付の事前・事後で行う確認事項が明確になり、人事異動に伴う申請・承認手続の混乱や内部監査時の労力の無駄を避けることができるようになります。また、規制当局の調査が入った場合にも、事業者を守る強い証拠になる可能性が高いため、社内規程ならびにSOPの書面化を強く推奨します。

予算管理

(解説)

寄付による金銭拠出が取引誘引目的で行われているものではないことを示すため、営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者の寄付への関与は極力排除するのが理想的です。例えば、寄付の予算については、大学の取引額に応じた寄付金額の増減ができないよう、年初に総額の寄付予算を確定してしまい、営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者により構成される部門ではコントロールできないところで管理するという方法もよいでしょう。

寄付依頼受付

(解説)

奨学寄付金等の外部資金受け入れに対し積極的な方策をとる大学も多いため、大学側より、事業者の窓口となっている営業等の担当者に、大学の医学的教育的な活動に対しての経済的支援要請の話が来ることは容易に想定できます。寄付が純粋に社内で計画する社会的活動の一環としての公益的な目的で行われるものだとしても、外部から、それらの寄付が取引誘引目的で行われているものと誤解されないよう、大学からの寄付の要請については、営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者により構成される部門と寄付担当部門を区別し、営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者により構成される部門は、大学からの寄付の照会に対しては、所属事業者の寄付担当部門を紹介するに留めるのが望ましいでしょう。

その後、社内で寄付を審議にかけるための社内での申請についても、決められた申請書様式を用いて、先程の寄付の担当部門(担当者)、もしくは営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者により構成される部門とは別の部門から立案するのが望ましく、その申請に営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者の意見を含めるべきではありません。

また、社内申請の申請内容を補足し、公益的目的であることを担保するために、例えば、SOPが回覧承認の場合には、大学から入手した寄付の趣意書や寄付取扱規程等を申請書と一緒に承認者に回覧するとよいでしょう。

なお、大学からどのように寄付の要請を受け付けるかは、各社それぞれの事情に合わせて構築されていくべきですが、以下の方法を採用している事業者もあるので、参考にしてください。

  • インターネット環境を使用した、大学からの直接の寄付の申し込み受付
  • 寄付連絡の専用のメールアドレスを設定し、当該メールアドレスに電子メールで申請
  • 寄付を管理する営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者により構成される部門から独立した専門窓口部門を設置し、その部門が、大学との窓口から、社内申請の管理、寄付金の支払いまで、総括して実施

なお、事業者が寄付プログラムを企画し募集する場合に、公募方式などにより広くあまねく周知することが望ましいでしょう。

社内承認

(解説)

寄付金が、取引誘因目的で決定されないこと、かつ第三者からそのような懸念をもたれる恐れを避けるため、寄付の承認は、営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者から切り離しておくことが重要です。

また、寄付は、大学の教育や研究の助成のために行われるものであることから、申請された寄付候補先の活動予定内容の適否を判断できる知見を有する部署もしくは専門家(例:メディカルアフェアーズ、クリニカルアフェアーズ、メディカルスペシャリスト等)を置き、承認者の一人とするか、承認者とできない場合であっても、彼らの参考意見を寄付の承認者に提供することで、承認のプロセスに関与させるのが望ましいでしょう。

社内承認の方法も、大学からの寄付要請受入方法と同様、各社それぞれの事情に合わせて適切な方法を構築していくのがよいのですが、構築の際は、以下の事業者の例も参考にしてください。

  • 営業活動に従事し日常的に医療従事者と接点を持つ者により構成される部門を除く複数の者が委員となる専門委員会組織を設置し承認。
  • 上記専門委員会での討議の中に、独立した第三者として、外部から医学的・教育的・科学的の専門家を招き、審査に加わってもらう。
  • 社内承認権限の委譲を行い、寄付拠出金額に応じて承認者を変更させる。
  • 社内での申請のレビューが終わったのち、海外の親事業者に最終審査と承認を委ねる。

なお、承認にあたっては、寄付の可否や寄付金額の妥当性判断の基準を明確化しておくことも大事です。例えば、取引額に応じて寄付金額が決定・承認されていないことを示すため、ひとつの大学に対して行う寄付拠出金額の上限、寄付金額全体に対する割合上限等を定める、複数の大学に寄付を払う場合に寄付金額を極力一定にするなどの基準を作っている事業者もあります。また、承認しなかった場合について、仮に大学側から問い合わせがあっても、理由などは伝える義務はありません(結果のみ伝達で十分です)。

支払い

(解説)

寄付を社内で申請し、承認するにあたっては、寄付候補先から寄付取扱規程を入手できている場合は、その寄付取扱規程に従って寄付することが重要です。寄付取扱規程が入手できない場合には、それに代わる大学側の受け入れ事務に関する書類を入手するのがよいでしょう。寄付取扱規程や受け入れ事務の書類には記載のない、任意の別の指定口座に寄付の支払いをしてしまうと、寄付ではなく、不正な取引誘因のための支払いとみなされる可能性もあるので、その点はしっかり確認をしてから手続きを行いましょう。

寄付の支払いにあたっては、寄付が事業者側で承認した目的以外の使途で使われないことを大学側に誓約していただくため、寄付契約書、確認書や念書など、形式を問わず書面あるいはそれと同等な方法による確認を取るようにしてください。

記録

(解説)

事業者が行う寄付に関し、後日の説明可能性を確保するため、また、透明性を確保するため、寄付の社内承認の記録を書面で残しておくことが重要です。例えば、承認について委員会組織を構築したのであれば、出席した委員会メンバーの名前の分かる委員会議事録などの記録がこれにあたります。

寄付を行った後には、寄付の使途の簡易な報告の受領や寄付金の開示についてのプロセスを持っておくのがよいでしょう。これらの事項は、医療機器業公正競争規約や医機連発行の透明性ガイドラインで要求されていますので、最低限、それらルールに沿った対応を実施してください。

なお、複数年度にわたる寄付講座の場合の簡易な報告の受領については、寄付支払いのタイミングにあわせて、中間の収支報告書や研究報告書の提出を求めるとよいでしょう。

その他

(解説)

寄付の目的とする研究が、臨床研究法上の特定臨床研究に該当するかにどうかについて確認するとともに、該当した場合には、臨床研究法に基づき適切に対応してください。

その他の注意点として、事業者として寄付を承認することのできないと判断したにもかかわらず、やはり寄付をしたいがために、従業員個人に行わせ、または、従業員個人が行うことを許容してはいけません。もちろん、従業員個人に、事業者名義で、あるいは、事業者の代わりに、その寄付をさせることも認めてはいけません。

また、寄付そのものが形式上SOPに沿って行われていたとしても、医療関係者との間の不適切なコミュニケーション等の周辺事情により、取引誘引など本来の意図とは異なる目的・性質の行為であると誤解されかねません。この点も踏まえ、寄付を行う趣旨等についての本質的な理解を、社内研修等を通じて、繰り返し、周知徹底する努力を怠ってはなりません。

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