2013年11月の医薬品医療機器等法(薬機法)成立により、医療機器の特性を踏まえた制度改正が実現
2021年4月9日
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医療機器と医薬品は性質がまったく異なるにも関わらず、医療機器は長年「薬事法」において医薬品と同じ枠組みで規制されてきました。2013年11月に成立した医薬品医療機器等法(薬機法)では、医療機器業界の悲願ともいえる「医薬品と医療機器の規制の分離」が実現しました。
- 医薬品医療機器等法 薬機法
- 正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。2013年11月に公布され、2014年11月より施行。医療機器は医薬品の規制とは別に章立てられ、名称も「薬事法」から「医薬品医療機器等法(薬機法)」に変更されました。2019年には「国民のニーズに応える優れた医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するとともに、住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができる環境を整備する」ことを趣旨とし、改正薬機法が公布されました。
Point
- 医療機器は長年、従来の「薬事法」において医薬品と同じ枠組みで規制されてきた
- AMDDは積極的に行政への提言を行い、2013年11月に成立した医薬品医療機器等法では、医療機器(IVD含む)は医薬品から独立した章として設定された
- この改正により、改善改良のサイクルを繰り返す医療機器の特性を踏まえた規制が実現
医療機器の改善改良のサイクルを阻む、従来の薬事法
医療機器はかつて長年にわたり薬事法の中で医薬品と同じ枠組みで規制されてきました。しかし、医療機器と医薬品は性質がまったく異なります。たとえば、医薬品の場合は承認された内容はその後も変更されることはありません。一方で医療機器の場合は、使用目的に基づき設計・開発され、臨床現場で使用されながらフィードバックを得て、それをもとに改善改良を繰り返していきます。こうした違いがあるにもかかわらず、医療機器が医薬品と同じ枠組みで規制されていたことにより、特定の医療機器が欧米諸国に比べ日本への導入が遅れるデバイスラグの一因にもなっていました。
薬事法から薬機法になり、医療機器(IVD含む)が医薬品から独立した規制に
医療機器の特性を鑑みた規制の構築に向けて、AMDDはこれまで様々な場で医薬品と医療機器の違いを理解してもらうための啓発や行政への提言などを積極的に行ってきました。その成果もあり、2013年11月の法改正により、モデルチェンジを繰り返し改善していく医療機器の特性を踏まえて、医薬品から独立した医療機器の規制が定められ、名称も「薬事法」から「医薬品医療機器等法(薬機法)」に変更されました。
これにより、医療機器の製造業は、許可制/認定制から登録制に簡素化されました。そして医療機器の改善改良サイクルを活かすための適切な体制として、製造工程を個別に管理するのではなく、製造・品質システム全体を管理する品質管理システム(QMS)の考え方が採用されました。さらに、MRI等で撮影された画像データの処理等に用いるプログラムについては、単体ではなくハード部分に組み込んだ形で規制されていましたが、この改正からプログラム単体で医療機器として規制の対象となりました。また、製品の市販後における有効性や安全性の評価についても、人工心臓弁など長期間にわたり体内で使用される医療機器があることを考慮して、医療機器の特性に応じて対象と期間を設定し、その期間内の使用成績に関する調査に基づいた評価がなされることになりました。
2019年に行われた薬機法改正では、AMDDとして医療機器の特性に合わせた承認審査制度の早期導入や医療機器トレーサビリティの向上、電子媒体での添付文書の活用促進を始めとした提言を行うなど、積極的に働きかけを継続しています。
AMDDは今後も、薬機法が変化を続ける時代に即したものであり続けるよう、引き続き活動を進めています。