一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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課題への取組み

医療機器のイノベーションを促進し、適正な評価を受けるために、機能区分制度のさらなる改善を

2021年5月20日

キーワード

医療機器は「機能区分」と呼ばれる類似の製品グループごとに保険償還価格が設定されています。診療報酬改定時に行われる価格改定では、同じ機能区分の他の製品と一緒に価格が改定されるため、個々の製品の価値が価格に適正に反映されにくく、より良い製品を開発することによるメリットが得られにくいことが課題です。

Point

  • 医療機器は医薬品とは異なり、「機能区分」と呼ばれる類似の機能をもった製品グループごとに保険償還価格が設定され、価格改定が行われている
  • 機能区分制度では、製品の改善改良を行っても、同じ機能であれば現行の製品と同じ価格にとどまり、価格改定時には他社の既存製品の価格の影響を受けるため、改善改良のインセンティブが得られにくい
  • 機能区分制度は、どこまでの範囲の製品が同一区分とみなされるのか、その定義と運用に大きく依存するものであるため、機能区分の見直し(合理化・細分化)に関する議論を含め、制度の更なる改善に向けた取り組みをしていく必要がある

機能区分制度の課題

医薬品は製品ごとに保険償還価格(薬価)が設定されていますが、医療機器は類似の機能や効能をもった製品がひとつのグループ「区分」にまとめられ、区分ごとに保険償還価格が設定されています。これが機能区分制度です。

医療機器は、製品が臨床現場に導入されたあとも継続的に改善改良が加えられます。製品の基本的な機能は変わらなくても、患者さんにとっての安全性がより高まったり、医療従事者がより使用しやすくなったりするなど、製品は進化し続けます。

機能区分制度では、企業が製品の改良改善を行って、新しい製品を開発しても、既存の機能区分と同一とされた場合、現行の製品と同一の価格になり、診療報酬改定時に行われる価格改定では、同じ機能区分に属する全ての製品の市場実勢価格を基に価格が改定されます。そのため、改善改良を行った製品の価値が機能区分としての価格に反映されにくく、より良い製品を開発することによるメリットが得られにくいことが課題です。

製品の開発がより促進されるためには、イノベーションを適正に評価する仕組みが不可欠です。従来品より優れた効果を持つ医療機器を新しい機能区分として評価するのみならず、改善改良により、患者さんや医療従事者にベネフィットをもたらす医療機器についても適正に評価されるよう機能区分の定義・運用の在り方も含めた制度の改善に向けた取り組みをしていく必要があります。

 

イノベーションを促進し、適正な評価を行うための機能区分のあり方とは

イノベーションを評価する仕組みとしては、以下のような制度が導入され、新製品の評価方法、改定時のイノベーション評価の維持、使用実績を踏まえた評価制度などの改善が図られてきました。これまでの制度改定により、改善改良からイノベーションまでの評価が十分と言うことではなく、希少疾病、小児への適応追加に対する評価、既存機能区分・変更あり(B2)、期限付改良加算(B3)の手続きの簡素化、迅速化などの改善は必要です。

  • 迅速な保険導入に係る評価
  • 改良加算の見直し
  • 機能区分の特例
  • 期限付改良加算
  • チャレンジ申請

また、既存の機能区分については、診療報酬改定時に機能区分を見直すこととされており、臨床上の利用実態を踏まえて、「細分化」、「合理化」、「名称の変更」、「簡素化」などが行われています。

この見直しの中で、異なる機能区分を統合する「合理化」のあり方については、いくつかの課題が挙げられています。例えば、C1、C2申請により新たな機能区分が設定された区分が、機能区分の合理化により既存の機能区分と統合されてしまうことがあります。このような合理化では、イノベーションが評価された製品の価格が引き下げられ、そうでない製品の価格が引き上げられることになります。こうした機能区分の合理化は、市場実勢価格による評価を歪めるとともに、従来技術から新技術への置き換わりをも阻害することになりかねません。

必要な機能区分の見直しについて否定するものではありませんが、機能区分の合理化は、機能区分の定義の変更(同じ機能区分とされる製品の範囲の拡大)を伴うものであることから、単に価格競争を促すために行うべきものではなく、合理的な根拠・目的に基づき、十分な意見聴取や審査の時間を確保した上で、公正に行われる必要があると考えます。

 

保険医療材料の評価区分

 

(出典)厚生労働省保険局医療課「令和2年度 保険医療材料制度改革の概要」

 

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