一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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課題への取組み

国内生産・海外生産にかかわらず、必要な医療機器が継続して日本で入手できる環境が担保されることが重要

2021年5月20日

キーワード

日本における医療機器の輸入超過の背景には、医療機器の特性や国民性などに由来する国際分業等、さまざまな要因があります。一概に問題と捉えるのではなく、現在の医療体制を維持するために、必要な医療機器を国内で継続的に入手できる環境を担保することが大切です。

Point

  • 日本では、医療機器の輸入超過状態が続いているが、必ずしもすべての製品分野で輸入超過がみられるわけではない
  • 輸入超過の背景には、海外に生産拠点がある日本企業の製品が輸入品として扱われるなどさまざまな要因があり、一概に問題と決めつけるのは性急
  • 輸出入のバランスを追求するよりも、現在の医療体制を維持するための医療機器を国内で継続的に入手できる環境を担保することが重要

輸入超過は問題か?

近年、日本では医療機器の輸入超過状態が続いています。2019年には約17,139億円の輸入超過となり、この状態を問題視する声も上がっていますが、輸出入について議論する際はそれぞれの金額だけでは計り知れないさまざまな要因が背景にあることを考慮する必要があり、一概に問題であると決めつけるのは性急です。

たしかに全体としては輸入超過の状態ですが、製品分野別に輸出入金額をみると、すべての製品分野で輸入超過となっているわけではありません。これは、医療機器がさまざまな製品分野にわたっており、分野ごとに国際競争力に違いがあることが一因として挙げられます。例えば、2019年における医療用鏡の輸入額は約735億円であったのに対し、輸出額は約1,767億円と輸入額を2倍以上も上回っており、当該分野における日本の国際競争力の高さが伺えます。

厚生労働省も、輸入超過そのものの是正を目標として掲げるのではなく、重点分野を定めた上で、国際競争力・効率性の高い革新的医療機器の開発・事業化を総合的に促進するとしています。

 

医療機器類別輸出入金額(2019年)

※輸入・輸出の両方に登場しない項目は全て「その他」に含めた

(出典)厚生労働省 令和元年薬事工業生産動態統計年報の概要 第38表、第42表より作図

 

現在の医療体制を維持することが最優先

製品分野別の輸出入金額で輸入超過の状態がみられたとしても、必ずしも当該分野での日本企業の競争力が低いことを示しているわけではありません。これは、日本企業の生産拠点が海外にあるため、日本企業の製品であるにもかかわらず輸入品として扱われてしまうからです。こうした状況を解消するためには、日本国内での新規医療機器の開発を促進するとともに、生産拠点を国内へ誘致することが必須となります。医療機器における輸入超過は、それ自体を問題視するのではなく、一つひとつの小課題に切り分け、それぞれの小課題に対して対策を講じていくことが重要です。

また、医療機器の輸出入は、経済活動としての側面もありますが、適切な医療を提供し続けるために必要な活動であることを忘れてはなりません。私たちが一番優先すべきは、現在の医療体制の維持です。輸出入のバランスを追求するというよりは、国内生産・海外生産の如何を問わず、実臨床の現場で日々使用されている医療機器が継続的に国内で入手できる環境を担保することがもっとも重要と考えています。

 

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