患者さんが必要とする、医療技術情報を届けたい
2021年12月8日
治療の選択肢は拡大していますが、患者さんがしかるべきタイミングで網羅的な情報を得るのは難しい状況です。「もっと早く知っていたら」「こんな治療法があったのか」など、情報の遅れやすれ違いをなくしていくために、AMDDは質の高い医療技術を患者さんへ的確に提示できる環境を整備していきたいと考えます。
- セカンドオピニオン
- 病気の診断や治療方針について、主治医以外の医師から意見を聞くことができる制度。セカンドオピニオンを受けるためには、紹介状や検査結果などを主治医に用意してもらう必要がある。別の医師から得られた意見を主治医にフィードバックすることで、患者さん自身、納得できる治療を実現することが目的。
Point
- 体へのダメージが少ない低侵襲性治療や、遺伝子などタイプ別に治療を施す個別化治療をはじめ選択肢は広がっているが、患者さんが適時・的確な情報を得るのは難しい。
- 医療機関の経済的制約などから、診療科をまたがる治療オプションの入手が困難な状況が存在している。
- AMDDでは、情報提供の仕組み・情報提供する医療機関の評価・患者さんの選択肢の拡大、と3つの視点から質の高い医療技術を患者さんに提示できる環境づくりを考えている。
患者さんは、すべての可能性を検討したい
治療の選択肢はこれからも増え、医療技術などの進化で治癒への可能性も高まっていきます。しかし、それらの治療を全国の患者さんが、同じように受けられるとは限りません。なぜなら、患者さんも医療機関も入手できる情報が限られるからです。患者さんが得られる医療技術情報は、医師が提供するものと、Webサイトに掲載されている玉石混交の情報と考えられます。一方、医師は必ずしもすべての情報を把握したうえで、患者さんに選択肢を提示している状況にありません。患者さんが選択肢を絞るうえでセカンドオピニオン外来を検討する際も、主治医に告げづらい、費用がかかる、そもそもどうしていいかわからない、などの問題があり、その受診率は3割程度といわれています。また、このような課題から重複受診※が行われている可能性が否定できません。
※同じ傷病に対し複数の医療機関で診療を受けること。そのため医療財政は二重の負担になります。
信頼できる情報が提供され、選択できるようにするには
患者さんに、質の高い医療技術の選択肢をスピーディに提供できる環境をつくるために、考えられることが3つあります。1つ目は、すべての医療技術情報を網羅した信頼できる情報サイトを構築し、全国の患者さんがアクセスできるようにすること。2つ目は、新しい治療の選択肢を含めて医療機関は患者さんに情報提供することが重要であるため、そのような行為を推進するインセンティブが望まれること。3つ目は国民皆保険制度の堅持を前提として、保険診療以外の付加的な選択肢も患者さんに提示できるように、保険で評価されていない一部について保険外併用療養費※を適用してもいいのではないかということ。簡単にまとめると、情報サイトの構築、医療機関から患者さんへの情報提供行為の評価、患者さん選択肢の拡大、という3つの方策です。
※保険適用外の診療を受けた場合、保険適用の部分も含めて患者さんの全額自己負担になってしまいますが、厚生労働大臣が定めた療養については保険診療との併用が認められ、保険給付が行われる制度です。