今までの枠組みで捉えきれない、新しい技術
2021年12月8日
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AIやICTなどの進展に伴って医療機器を取り巻く環境が変わり、イノベーションのスピードも速くなっています。その変化に対応するため、医療機器などの評価方法についても、時代に即したものとなるよう検討するタイミングに入っているのではないかとAMDDは考えています。
- 特定保険医療材料(特材)
- 特定保険医療材料の略。診療報酬(手技料、薬剤費など)とは別に価格が定められており、保険者などに請求できる。ディスポーザブルの注射容器など、基本的に使い捨てのものがこれにあたる。
Point
- 特定保険医療材料以外の医療機器において、製品を最もよく知っている企業がその評価に関与する機会が限定的である。
- AI活用のような、日々進化する技術を継続的に評価する仕組がない。
- 医療機器や体外診断薬の使用環境は、在宅にまで広がっている。在宅での治療を可能とするイノベーションや、情報技術(AI,ICT)がもたらす価値の評価が十分になされていない。
保険収載後でも再評価できる、チャレンジ申請
特定保険医療材料には、長期にわたって体内に留置するものや、革新性の高い技術を伴うものがあり、保険収載までの間に最終的な評価項目を検証することが困難な場合があります。このような、使用実績を踏まえた評価が必要な製品に対し、製品導入時には評価できなかった部分について、使用実績を踏まえて保険収載後に新規機能区分の該当性について再度評価を行うことができる仕組みがあります。これをチャレンジ申請といいます。但しチャレンジ申請を行う場合でも、ハードルが存在しますので、AMDDとしては、対象範囲の拡大、プロセスおよび提出資料の簡略化、イノベーションが評価された価格が価格改定時にも継続されること、などを提案しています。
AIを利用した医療機器の評価について
厚生労働省 医薬・生活衛生局の「AI技術を利用した医療機器の医薬品医療機器法上の取扱にかかる対応について」によれば、評価の手法における課題として「継続的な性能の変化などのAIの特性に、より即した形で医療機器としての評価を行う必要がある」また、評価の体制における課題として「円滑な実用化には、開発相談、審査に加え、市販後の評価・フォローアップが重要。継続的な性能の変化などのAI技術の特性・可能性を理解して、継続的な評価や医療現場への情報提供等を行うことが求められている」とあります。AIをはじめとする情報技術の分野では、性能変化のスピードは非常に速く、その特性に沿った適切な評価を行うことが重要であると考えられます。