一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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プレスリリース

日本で医療機器の提供に要するコストは欧州諸国に比べて2.2倍から2.5倍であることが判明

2009年7月24日

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-三菱総研調査から日本と諸外国との医療機器のコスト構造の違いが明らかに-

米国医療機器・IVD工業会(AMDD)は、このほど「医療機器提供コストの日欧比較調査結果」をまとめました。この調査によると、日本において医療機器製品1個を提供するのに要するコスト*1は、欧州諸国に比べて、心血管系機器(PTCA、ベアメタルステント、ペースメーカー)では平均約2.2倍、整形外科系機器(人工股関節および人工膝関節)では平均約2.5倍のコスト高になっていることが判明しました。

*1 経常費用。研究開発、製造から医療機器を医療の現場に届けるまで必要な営業・マーケティング、治験・薬事・品質管理、預託在庫などに関わる費用のこと。

この調査は、AMDDが三菱総合研究所に委託し、2008年12月から2009年2月にかけて、日本および欧州で事業展開する12社のグローバル医療機器企業を対象に、日本と欧州諸国(イギリス、フランス、ドイツ)における市場や企業の概況およびコストの構造の差異についてデータ収集・分析を行ったものです。

製品及び適正使用情報提供・営業のコストは2.5~4.2倍

この調査結果によると、経常費用の中で、日本での製品及び適正使用情報提供・営業費に関するコストは欧州諸国の2.5~4.2倍であることが判明しました。これは、日本における1 施設あたりの症例数が欧州と比較して非常に少ないためと考えられます。

治験・薬事・品質管理のコストは約20倍

また治験・薬事・品質管理に関する日欧のコスト構造の倍率は非常に大きく、日本のコストは欧州の約20倍でした。これには、日本の規制面での高いハードルに対応するため、日本での治験・薬事・品質管理のための要員数が多いことや、販売数と比べて日本では苦情件数が多いなど、日本固有の質への高い要求が関係していると考えられます。

1施設あたりの預託在庫額は欧州の10倍

また在庫関連のコストにも大きな差が認められ、PTCA、ベアメタルステントに関しては日欧の比率が10倍でした。これは、日本における1施設あたりの預託在庫額が欧州諸国と比較して高いことに起因するものであると考えられます。

このように、欧州諸国に比べ日本では、営業・マーケティング、治験・薬事・品質管理、在庫関連について数倍から20倍のコストがかかっています。その結果、各国でほぼ均等に要していると見られる研究開発費(臨床試験前)・製造費を加えた、製品1個あたりのコストで、日本では心血管系機器では平均2.2倍、整形外科系機器では平均2.5倍ものコスト高になっていることが明らかになりました。

また本調査では、日本では欧州と異なりほとんどの製品が卸事業者を経由して販売されていることが改めて確認されました。日本で卸事業者の活用度が高い背景として、医療機関数が多いこと、1施設あたりの症例数が少ないこと等があげられます。本調査で判明したコスト構造の差異に加え、日本では卸事業者の費用も要する点に留意する必要があると考えます。

これまで述べましたように、諸外国と日本は、市場環境が異なり、コスト構造が異なります。にもかかわらず、価格だけは諸外国と同水準にすべきということは、医療機器企業にとっては将来的に日本への製品導入を積極的に行えなくなる可能性があると危惧いたします。実際、現時点でも、欧米の主要医療機器企業が日本で提供する製品数は、欧米の約半数であり(2008年デバイスラグ調査<ACCJ医療機器・IVD小委員会>)、日本の市場環境は必ずしも好ましい状況にはないと言えます。AMDDとしては、今後も、引き続き日本における医療機器提供の現状理解の促進に努力するなかで、一層の市場環境整備を各方面にお願いしたいと考えます。

以上

※本調査結果レポートの全文は「提言書など」よりご覧いただけます。

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