一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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プレスリリース

JACRI/AMDD/EBC 3団体が共同で「体外診断用医薬品の適正な提供に関する考え方」提言書を厚労省に提出

2014年6月20日

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-多様化する医療ニーズを踏まえて-

2014年6月17日(火)、日本臨床検査薬協会(JACRI)、米国医療機器・IVD工業会(AMDD)および欧州ビジネス協会(EBC)は厚生労働省などに対し、体外診断用医薬品(IVD)業界3団体として共同の提言書を提出し、病気の予防・診断・治療・予後の経過観察などの臨床検査に使用される体外診断用医薬品(IVD)の適正な提供のあり方に関して、以下の通り説明しました。

提言1. 検査技術の高度化と臨床ニーズの多様化を踏まえた臨床検査薬の適正な区分とそれぞれの区分における運用条件の明確化

近年、ゲノム検査に代表されるように、高度化・複雑化した検査薬は薬事承認されるまでに非常に長い時間がかかり、臨床現場への提供が遅れる要因となっています。
最新技術を用いた検査薬を迅速かつ適正に臨床現場に提供するために、臨床検査薬を適正な区分に分類し直し、各区分での運用条件を明確にすることで、臨床現場への段階的な導入が可能になります。分析的妥当性が認められた段階で、臨床研究用診断薬(仮称)としての認可を受け、臨床現場での利用を可能にするような新たな規制制度を提案します。

提言2. 体外診断用医薬品開発の促進と迅速化に向けた臨床研究に関する体制整備

近年、臨床研究に関する倫理指針等が厳格化される一方で、体外診断用医薬品に関する臨床性能試験のガイドラインは未だ整備されていません。そのため各医療機関における臨床性能試験の受入体制が統一されておらず、体外診断用医薬品の開発期間の延長や開発そのものへの障壁となっています。体外診断用医薬品の特性を踏まえた臨床性能試験のガイドライン整備が不可欠であるとともに、体外診断用医薬品の開発に使用できる検体バンクの創設と活用のためのルール作りが望まれます。

提言3. 在宅医療・介護・地域医療及びセルフケア領域における体外診断用医薬品の活用促進

(1)在宅医療・介護・地域医療におけるPOCTの活用促進

近年、在宅医療や訪問看護ステーションなど、検査室以外の医療現場で実施できる臨床検査としてPOCT(Point of Care Testing : 臨床現場即時検査/ベッドサイド検査)の利用が注目されています。
POCTの普及を促進するためには、POCTコーディネーターによる検査の質の確保、さらに医療施設等の検査室で行われる検査とは別の適正な保険償還が強く望まれます。

(2)セルフケア領域における体外診断用医薬品の活用促進

①検体測定室における適正な検査の提供

本年3月31日の厚生労働省告示により、指先の自己穿刺による検査を医師・薬剤師・看護師または臨床検査技師が行う簡易な検査サービスが実施可能となっています。その安全かつ適正な運営・普及のために、精度管理や維持管理が簡便な検査薬・検査機器を充実させ、十分な正確性・精密性を持った適正な検査結果を提供する体制を整える必要があります。

②一般用(OTC)検査薬の適正利用

内閣府規制改革会議からの提案を受け、医療用検査薬のOTC化促進に向け、一般用検査薬として拡大すべき検査対象項目の検討がなされています。一般用検査薬は疾病の診断を目的とするものではなく、医療機関への受診勧奨あるいは、日常での健康管理を目的としたセルフチェックに有用な項目も対象として検討されるべきと考えます。

昨年8月に社会保障制度改革国民会議から出された報告書は、地域医療体制の促進、在宅医療・在宅介護の充実および、国民の健康の維持促進、疾病の予防および、早期発見等の促進の必要性を述べています。われわれは、患者のかたわらで検査を行い、速やかに結果を出すことができるPOCTや国民がセルフチェックに使用できるOTC検査薬を適切に提供し、活用していくことにより、在宅医療や介護医療の充実に貢献できると考えます。

適切で効率性に優れた診療の実施と国民の疾病予防や健康維持・増進に役立つ臨床検査関連製品を医療と検診/健診の現場に適正に提供することがわれわれの重要な役目であり、その実現のため、これまでもさまざまな提言を通して、行政や関係機関等と協議を重ねてきました。その結果、体外診断用医薬品の審査体制の改善やコンパニオン診断薬に関する制度構築が実現し、いくつかの課題が解決されつつあります。しかしながら、現在の日本には、出生前診断や乳がんリスク検査の例のように品質・性能・精度が適切に保証されないまま国民に提供されている検査があるなど、まだまだ多くの課題が残っています。国民の健康や生命に影響を及ぼす臨床検査を迅速かつ安全に国民に提供できる体制の構築が喫緊の課題であるとわれわれは考えます。

※本提言書の全文は、「提言書など」にてご確認いただけます。

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