医療における POCTの役割
海外における医療制度は各国においてそれぞれ異なるところですが、ドイツなどでは病院と開業医の役割が制度上はっきり分かれており、患者さんはまず診療所(開業医)を訪問し診察してもらいます。一方、病院は主として開業医の判断で手術や入院などを必要とされた患者さんの治療を専門とします。
そのため診療所では、患者さんの状態を短時間に正確に把握できる検査( POCT※)が普及しています。例えば、尿検査、血糖検査、なかでもインフルエンザのような感染の有無を知る検査から命のリスクの高い疾患に関連する検査(循環器関連マーカー、凝固系の検査など)などです。
POCTのニーズを満たすための検査システムは、抗体や発色試薬などを装着した試験紙などの上に、患者さんの血液や尿を滴下するだけで短時間で判定結果が得られるよう工夫された先進技術が用いられています。我が国でも、2006年6月に成立した医療制度改革法に示されているように今後、医療機関も医療機能による分化および連携がより推進されていくと思います。そうした環境のなかで POCTの果たす役割は大きいと思います。
(注)※ POCT:Point of Care Testing(患者さんの横で即結果のでる検査)
文責:ロシュ・ダイアグノスティックス 田中