一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

AMDD logo

一般社団法人
米国医療機器・IVD工業会

医療技術・IVDの変遷

災害時における POCTの役割

キーワード

近年、自然災害(豪雨、地震、津波など)は世界各地で発生し、その被害の大きさから対応策が各国共通の課題となっています。なかでも日本は、ここ数年でも震度5以上の規模の地震が度々発生しており、地震多発国として知られています。

こうした状況を反映し、今年度からスタートした計画医療の中心である4疾病5事業の一つに災害時の医療への取組みがあります。災害時の被災者のショックはもとより、家屋を奪われた住民は長期間不自由な避難生活を送ることを余儀なくされ、健康面にも影響がでてきます。また医療機関へのアクセスが断たれることにより、通院治療を必要としている患者さんへの対応も必要となります。

平成16年10月の新潟中越地震では、狭い車中での長期の避難生活の結果、肺血栓塞栓症※1や深部静脈血栓症を発症し、何人かが亡くなられました。こうした実情を受けて、肺血栓塞栓症研究会は、「災害緊急避難時における肺血栓塞栓症に関する提言」を作りました。肺血栓塞栓症には、Dーダイマーなどの検査を行うことにより迅速に診断することができます。

一方、通院治療を必要とする患者さんにとっても診断・治療の確保が必要です。医療機関へのアクセスがままならない災害現場においては、電気・水道などのライフラインが繋がっていなくても、簡単に短時間で測定できる検査キットが有効であることは当然です。 POCT※2はこうした状況下でも対応できるよう、水や電気を使用しないで、誰でも簡単に測定できる検査試薬として開発されています。

(注)
※ 1:狭い車中や飛行機の中などで、脚の静脈血の流れが悪くなって血液の固まりができ(深部静脈血栓症)、更に肺に飛ぶと肺血栓塞栓症を発症する。飛行機内での長時間の静止姿勢により発症することが多いことから、「エコノミークラス症候群」とも呼ばれています。
※ 2:Point of Care Testing(患者さんのいる所で即結果の出る検査)

文責:ロシュ・ダイアグノスティックス 田中

ケーススタディ・コラム一覧に戻る
pagetop