一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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医療技術・IVDの変遷

IVD:検査と個別医療

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医療における検査は、主に疾病の診断や治療効果のモニタリングとして各種疾患におけるマーカーの発見が中心となって開発され、利用されてきました。

一方で近年、遺伝子分野の研究発展はめざましく、ヒトの遺伝子解析により医療では個体差による疾病情報が解明され、診断や治療における研究開発の中心は遺伝子をベースとした“個別医療”に向けられています。

治療薬の投与前に遺伝子情報によって有効か有効でないか、あるいは適正な投与量や副作用の有無などが分かるようになりました。例えば2003年には、乳がんの治療でハーセプチン(抗HER2ヒト化モノクローナル抗体抗悪性腫瘍剤)の投与対象患者を選択するための遺伝子増幅検査が保険適用されました。

その後、大腸がんの治療薬であるイリノテカンにおけるUDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型の検査や、広く薬物代謝に関係するチトクロームP450の検査が市場に導入されています。さらに2009年には、大腸がんの治療薬選択におけるK-RAS遺伝子検査が先進医療として承認されました。

このように治療薬と結びつけて行われる遺伝子検査による個別医療は、無駄な投与を抑え、医療費の削減という経済的効果をもたらすとともに患者さん自身にも治療効果が上がり、副作用を免れるという大きな利点があります。

現在、検査はこれまでの疾患の診断や治療のマーカーとしての役割からさらに遺伝子情報による個別医療へと役割を広げています。

文責:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 田中敬子

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