SHCLがコンタクトレンズの主流に
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ソフトコンタクトレンズ(SCL)には「シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」(SHCL)と呼ばれるものがあります。これはヒドロキシルメタクリレートにシリコーンを重合したもので、今やコンタクトレンズ(CL)の主流の地位を占めようとしています。
角膜を健全に保つには酸素が欠かせません。CLを終日装用しても角膜に浮腫をきたさないためには一定の酸素透過率が必要ですが、どのSHCLもその数値を大きく上回っています。これまでのSCLでは、素材に含まれる水分を介して酸素が透過しましたが、SHCLの場合は素材自体が酸素を直接通すことができるので、酸素不足で起こる角膜輪部の充血などはほとんど見られなくなりました。
これまでのSCLは、装用時間が長引くにつれて乾燥感が強まってきますが、これはSCLによって涙液が早く蒸発するために起こります。それに対してSHCLの場合はその程度が少なくなるためか乾燥感が軽減され、一日の装用時間が延びても快適さが失われにくいという報告もあります。
このようにSHCLは、角膜へ酸素が十分に供給されるだけでなく、乾燥感が軽減されるという大きなメリットがあります。しかし、不適切なレンズケアで起こる角膜感染症は減少するわけではありません。ですからSHCLの場合も、眼科医による適切な処方と装用指導は、従来どおり重要なことは言うまでもありません。
文責:ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) ビジョンケア カンパニー 五十嵐良広