術中神経モニタリング
頭蓋内や頭頸部領域の手術においては病変の摘出作業を行う際に脳神経を損傷するリスクがあり、例えば顔面神経を損傷すると顔の表情筋が動かなくなるなど患者QOLを著しく低下させることから、手術には病変の摘出のみならず、神経機能を温存した愛護的な操作が求められます。
術中神経モニタリングは神経損傷リスクの低減を目的として使用される機器で、患者のQOL向上ニーズからその普及が著しく進んでいます。一方、課題点として医療従事者に対する神経モニタリング業務の負担増と費用コストの増加が取り沙汰されています。
近年、こうした医療ニーズに対応し、術中神経モニタリングを簡便に実施できる機器が登場し、病院の費用コストを軽減する目的で、神経モニタリングに対する手術医療機器加算の保険適用拡大が進んでいます。甲状腺・副甲状腺手術では声帯の動きをつかさどる反回神経損傷のリスクがありますが、平成26年度保険改定では、甲状腺・副甲状腺の悪性腫瘍手術における術中神経モニタリングに対し、手術医療機器加算が新規収載されました。今後、神経モニタリングの普及がさらに拡大することにより、より安全で効果的な医療を患者さまへ提供することが期待されます。
文責:日本メドトロニック株式会社 村田智