身体への負担軽減と質の高い医療を支える心臓病治療機器
健康維持には正常な心機能を保つことが不可欠です。心臓病の治療分野では、身体への負担を軽減させる先進的な医療技術が日本においても数多く導入されています。
例えば、心疾患の中で最も一般的な冠動脈疾患(主に狭心症・心筋梗塞)は、心臓に血液を供給する冠動脈がプラーク(脂肪性沈着物)の蓄積によって狭くなったり塞がったりすることで、心筋への酸素不足を生じさせ、胸痛を招いたり、心臓発作のリスクを高める疾患です。1970年代前半までは大きく体を切り開く冠動脈バイパスグラフト術が主な治療法でしたが、現在は脚の付け根や手首からカテーテルを挿入し塞がった血管を治療する、低侵襲の経皮的冠動脈形成術(PCI)が普及し、患者さんの治療時の身体的負担を軽減しています。このPCI治療は飛躍的に進歩し、複雑な病変に対応するため細く設計されたカテーテルや、再狭窄の発生率を低減させる薬剤をコーティングしたステント、術後治療部位の血栓付着を低減させる技術など、様々な先進技術が患者さんの再治療の低減や術後の早期回復に貢献しています。
また、心臓弁膜症のひとつである僧帽弁閉鎖不全症(MR)への治療においても、2017年に低侵襲性カテーテル治療機器が国内で初めて承認され、2018年4月から新たな治療法として導入されています。今後、多くのMR患者さんのQOL向上に貢献することが期待されています。
文責:アボット バスキュラー ジャパン株式会社 磯田