重症心不全患者さんの循環改善とQOL向上を目指した、小型の植込み型補助人工心臓
拡張型心筋症や虚血性心筋疾患などで長期間またはくり返し入院治療を必要とするような重度の心不全患者さんの最終的な治療手段は心臓移植です。国内の心臓移植は2018年に年間で55件実施されている一方で、2019年2月現在700人以上の方が心臓移植希望の待機患者として登録されています。待機期間も約3年と諸外国よりも長い傾向にあります。
植込み型補助人工心臓は、このような心臓移植の待機患者さんに対して、移植までの橋渡しとして植え込まれる心臓のポンプ機能を補助する医療機器です。左心室に植え込んだポンプを体外のバッテリーで稼動させることで心機能の一部を補助します。
日本では、植込み型補助人工心臓は2011年4月から保険診療が可能になりました。一方、小柄な体型の方が多い日本人の患者さんには、より小型でかつ十分な流量の循環補助が可能なポンプが望まれていました。2019年1月から保険適用となりましたこの小型の植込み型補助人工心臓は、術者の植込み手技を容易にし、患者さんの体への負担軽減を目指しています。そして、患者さんの症状の改善のみならず、ご自宅での生活や社会生活への復帰を目指す治療として、患者さんのQOL向上への貢献が期待されています。
文責:日本メドトロニック株式会社 小野直子