院外心停止症例への新たなアプローチを提供するコネクテッドAED
総務省消防庁の平成30年度統計では、病院施設外で目撃される心原性心停止症例数は年間2万5,538件に上り、年々増加傾向にあります。このうち居合わせた救助者によりAEDが使用される事例数も増加しています。突然の心停止は何の前触れもなく生じ、痙攣を起こした(無秩序な電気的活動が生じた)心臓は全身に血液を送るポンプの役割を失い、やがて死に至ります。AEDによる早期除細動は、心臓を正常なリズムに戻すための唯一の方法と言われています。
突然の心停止症例に対しては、予防、早期認識と119番通報、心肺蘇生とAED使用(一次救命処置)、救急隊員への引継ぎ(二次救命処置)、そして心拍再開後の集中治療へと滞りなく連携させていくことが、生存率や社会復帰率の向上につながることが分かっています(救命の連鎖)※。
従来連携されていた救命処置情報は、心肺蘇生(CPR)や電気ショック実施の有無、その時間や回数などに留まり、限定的でした。対してコネクテッドAEDを用いると、無線LANを利用して専用クラウドにつながることで、AED内部に記録されている初期心電図や解析波形などの詳細データを、救急隊が現着する前、もしくは患者が病院搬送される前に、専門医師にリアルタイムに提供できるようになります。医療機器とインターネットをつなげるコネクトテッドAEDを活用することによって、救急隊員が実施可能な特定行為への備えや、院内搬送された後の経皮的冠動脈形成術(PCI)、経皮的心肺補助装置(PCPS)の早期導入に向けた備えなど、より迅速に効果的な「救命の連鎖」へ貢献することが期待されています。
※厚生労働省:救命蘇生法の指針市民用(2015)
文責:日本ストライカー株式会社 藤本祐介