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医療技術・IVDの変遷

前立腺特異抗原(PSA)

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前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen:PSA)は、前立腺で産生されるたんぱく質で、前立腺がんの診断・治療には欠かせない検査マーカー(腫瘍マーカー)です。前立腺は、膀胱の下に位置する男性固有の臓器で、前立腺がんは、前立腺に発生するがんです。

前立腺がんは、図のように、尿道から離れた場所(辺縁領域)に発生することが多く、早期の段階では、自覚症状がありません。何らかの排尿症状が出た時には、がんが前立腺周囲や他の臓器に転移している場合もあるため、早期に発見する検査法が色々と考案されてきました。

中でもPSA検査は、前立腺に特異的で、早期のがんでも血液中のPSAレベルが上昇することが多く、簡便な血液検査であることから、前立腺がんの診療(診断や治療後の経過観察)だけでなく、前立腺がん検診の目的にも汎用されています。

一方、測定系の進歩としては、より微量なPSA測定が可能になったことがあげられます。1990年代は、0.1ng/mL付近までの測定が限界でしたが、現在では0.01ng/mL未満が可能になり、0.1ng/mL以下のPSA値の推移は、前立腺全摘出手術後やホルモン療法後の経過を判断する上で有益な情報となっています。

2015年のがんの統計報告では、前立腺がんの予測罹患者数は肺がんを抜いて1位になっています。前立腺がんは今後も増加することが予想されますので、PSA検査を実施する機会は増えると予想されます。

PSA検査は、前立腺がん診療のシステムを根本から変えた腫瘍マーカーと評価されています。今後もPSAの特徴を理解し、適切に臨床応用することが望まれます。

文責:アボットジャパン株式会社 松坂英一郎

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