コンパニオン診断
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分子生物学の進歩は、疾患の理解を分子レベルまで高め、現在、がん治療分野を中心に分子標的薬の開発が進んでいます。分子標的治療は、がん細胞の増殖や浸潤、転移にかかわる分子(遺伝子、タンパク)を標的として、がんの増殖や進行をおさえるため、がん患者にそのような分子の発現がみられるか否かの検査が不可欠です。これを行うのがコンパニオン診断です。
たとえば、胃がん患者の6人に1人、乳がん患者の5人に1人の割合で腫瘍細胞上にHER2タンパクの過剰発現が認められます。このような患者さんにはモノクローナル抗体薬による分子標的治療を行うことができるため、コンパニオン診断薬による検査が行われます。コンパニオン診断を行うことで、高い効果が期待できる患者群を選択することができ、重篤な副作用を避け、治療の最適化を図ることが可能になります。
また、このように治療が最も奏効すると予想される患者群を選択できると、より少人数での臨床試験を行うことで新薬の開発期間の短縮になり、最適な薬剤を最適な患者グループに、より安全に提供することが期待できます。
このように、コンパニオン診断はその名の通り、創薬初期の段階から用いられ、治療薬との一体化開発が望ましいとされますが、すでに市販されている薬剤に対し、後付けで開発される診断薬も含め、コンパニオン診断薬と言われています。
文責:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 荒川未知