小腸・大腸のがん診断に有効なカプセル内視鏡
カプセル内視鏡は大きめのビタミン剤くらいの大きさであり、容易に嚥下可能で、消化管の粘膜を撮像する検査のために用いられます。2007年に小腸カプセル内視鏡、2014年に大腸カプセル内視鏡が保険適用となった比較的新しい画像検査技術です。
カプセル内視鏡システムは、①超小型カメラを内設し、撮像した画像を無線電信するカプセル内視鏡(小腸用、大腸用)、②その画像を受信するセンサアレイとデータレコーダ、③読影診断用のソフトウェアがインストールされたワークステーションから構成されています。
小腸用カプセル内視鏡は、これまで暗黒大陸といわれてきた小腸に光を当てた新しい検査法であります。日本に登場して以来、多くの臨床応用が進み、薬事承認当初は原因不明の消化管出血のみの適応であったものが、現在では、クローン病をはじめとする全小腸疾患に適応拡大されました。
大腸用カプセル内視鏡は、身体的困難などの理由から大腸ファイバー検査が実施できなかった患者さんへの検査機会の提供など、これまで満たされなかった医療ニーズの実現という価値をもたらしました。また、カプセル内視鏡検査は、内視鏡の専門医に限らず実施することが可能であることから、医療過疎地への普及や今後、増加すると考えられる大腸がんの早期発見・治療への活用が期待されております。
臨床においては、日本カプセル内視鏡学会が中心となり、レジストリによる大規模市販後臨床試験の実施など、適正使用に向けた取組みが行われております。
今後、カプセル内視鏡検査は、さらなる患者さんの負担軽減のための臨床応用や医師の読影負担を軽減するための画像認識技術の向上が進んでいくものと考えられております。
文責:日本メドトロニック 池田 剛