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医療従事者

「感染症の脅威から日本を守るには」

2015年5月1日

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大曲 貴夫 氏 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター長

 

昨年、国内でデング熱が発生し、西アフリカではエボラ出血熱のアウトブレイクが起こるなど、感染症の脅威を改めて感じた方も多いでしょう。国立国際医療研究センター 国際感染症センター センター長の大曲貴夫先生に、感染症の正しい理解や背景、脅威を防ぐために必要な対策などを解説していただきました。

世界のさまざまな感染症
◆インフルエンザ

鳥インフルエンザのひとつ、H7N9インフルエンザは、2013年4月に中国の上海で患者が見つかりました。患者の多くは、ライブバード・マーケット(生きた鳥を扱う市場)の労働者で、鳥インフルエンザに罹患した家禽(ニワトリ)に暴露することによって感染するといわれています。死亡率は27%で、抗インフルエンザ薬の投与の遅延がリスクを高めたと考えられます。中国との往来の活発さを考えると、今後日本での発症も十分にあり得るので、迅速な対処が欠かせません。

◆中東呼吸器症候群(MERS)

中東呼吸器症候群(MERS)も、12年に見つかった新興の感染症です。コロナウィルス感染症でラクダが媒介します。サウジアラビアでの流行は、院内感染が主といわれていますが、医療従事者が用いる個人防御具の徹底を今一度見直す機会になりました。

◆デング熱

国内では昨年夏のデング熱が記憶に新しいでしょう。媒介はヒトスジシマカ。初期では特徴的な症状が少ないので、医師は渡航歴や蚊に刺されたかなど、患者のストーリーを聞くことが重要になります。一部報道でデング熱を軽微な感染症と伝えていましたが、実は患者の5%は重症化します。嘔吐や吐き気、腹痛など重症化の前兆があったら、見逃さないようにしなければなりません。

◆エボラ出血熱

エボラ出血熱は、潜伏期間が3~12日と長く、その間に移動して日本に持ち込まれる危険性があります。症状は出血より下痢や嘔吐が激烈で、水分が大量に排出されます。現段階では特効薬より補液、輸血などで失われた水分を補い、臓器の損傷を防ぐことが先決でしょう。

感染症の脅威から守るためには

近年、医療安全の必要性が認識されるようになりましたが、医療機関は常にリスク管理を考えなければなりません。2人体制のバディシステムの導入も急がれます。最後に疑似症に遭遇したときの対処を挙げます。これらを基本にすれば、一般医療機関でも対処は困難ではないでしょう。
①個室に収容する
②接触予防策を行う
③下痢、嘔吐などがある場合は不用意に近寄らない
④二次感染の危険がある場合、採血は行わない。

*大曲先生のお話を編集部でまとめたものです。

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