ALS患者の願い
2015年5月1日
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一般社団法人 日本ALS協会
ALS(筋萎縮性側策硬化症)は、運動ニューロンが障害される疾患で、10万人に2~6人の頻度で発生するといわれ、そのうち家族性(遺伝性)のALSは約10%とされています。症状が進行すると、四肢の筋力低下のため全生活動作の介助が必要となり、さらに、嚥下障害・言語障害・呼吸機能障害が進行し、経管栄養のための胃ろうの造設や、特殊なコミュニケーション機器の導入、気管切開・人工呼吸器の装着を要することになります。
生命と社会生活を維持するためには、これらの選択が迫られるため、難病制度ができた当初から「難病中の難病」といわれてきました。現在、日本では難病医療券を申請している患者は、約9,000人います。
日本ALS協会は1986年に、「ALSと共に闘い、歩む会」として、患者と家族を中心に、遺族・専門医・医療関係者や一般有志が集まり設立されました。ALS患者の療養生活の向上と治療法の確立を目的とし、特定の宗教や政治団体に属さない非営利の組織です。現在までに設立された全国の支部は41、会員数は約5,000名を数え、患者・家族会員は約40%、2,000名です。
現在もなお根本的な原因が解明されていない中、患者・家族や支援者の思いから寄せられた寄付を基に1992年に「ALS基金」が設立されて、毎年、研究奨励金を交付しています。また、療養支援として「ALS相談室」「コミュニケーション機器貸し出し事業」「ALSケア講習会」などを実施しています。
生活を支える福祉機器、とりわけコミュニケーション支援に役立つ最新のロボット型機器の開発などが待たれます。しかし、日々、失われていく機能を、清明な意識のもとで感じなければならない患者にとっては、何よりも、原因究明と治療法の確立が望みです。現在、家族性ALS患者の原因遺伝子解明が進められていますが、それを突破口にすべてのALS患者の治療へと道が開けることを切望します。