一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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患者団体

人工内耳で音と言葉を取り戻す

2014年1月1日

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松田 法夫 氏 人工内耳友の会[ACITA] 会長

私ども人工内耳友の会[ACITA] (アシタ)は、「人工内耳」を装用するメンバーの集まりです。人生の半ばで何らかの病気やケガで重度難聴になられ、補聴器でも聞こえない聾の方々も、手術で内耳の中へ電極を埋め込めば、聴神経を直接刺激して聴覚が取り戻せるのです。

東京医科大学で当初、音と言葉を取り戻したい4人の装用者が情報交換の場を作り、1988年5月に16人でスタート。2013年6月に創立25周年を祝いました。アシタは、Association of Cochlear Implant Transmitted Audition(人工内耳を介した聞こえのつどい)の頭文字をとったものです。もちろん、日本語の「明日」、つまり未来への希望を忘れたことはありません。

この会の活動の目的は、医師や言語聴覚士、メーカー、諸団体と連携して、人工内耳装用者の福祉の充実と普及、会報での情報発信を進めること。全国的に人工内耳相談会を開き、9月9日を『人工内耳の日』と定めて啓蒙活動を行い、正しい理解と普及促進に努めています。

また定期総会の懇談会では、聞こえの向上をめざして情報交換を行い、全国各支部でも啓蒙活動などを行っています。人工内耳装用者がアドバイザーとなり、自らの体験を通して再び音の世界に戻れた素晴らしい体験を語り、1人でも多くの方に聞こえの喜びを伝える活動も行われています。

いま正会員は1,000人を超えましたが、実際に装用されている方は7,000人以上と推定されています。失聴して諦めていた電話や音楽、孫とのおしゃべりなど、装用してから音や言葉が蘇ったことによるQOLの向上は言うまでもありません。

人工内耳を装用したからといって、すぐ話し言葉がすべて聞こえるわけではありません。聞こえの向上には会話や朗読、ラジオや世の中の様々な音を聞くなど、言葉が理解できるまでに半年から2年くらいのリハビリテーション(訓練)が必要です。しかし聞こえるようになっても、1年に1~2回のMAP(プログラム)調整なども欠かせません。ただし、聞こえ方は人により千差万別です。

人工内耳の適応基準は、聴力レベルが成人、小児(1歳半以降)それぞれ90dB以上で、補聴器を使用してもはっきり聞こえず、言葉が理解できないこと、となっています。近年は先天性聴覚障害のある乳児の装用が増え、また成人・小児とも両耳装用者も増えて聞こえの向上が高まってきています。

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