一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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患者団体

知られていないCAPD透析法

2013年4月1日

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松村 満美子 氏 NPO法人腎臓サポート協会 理事長

私どもの協会は、腎不全患者さんに寄り添いサポートをしている団体です。

まず、当協会の設立のいきさつからお話しします。12年前札幌で腎不全の市民公開講座を開催した際、私たちのところに末期腎不全になった当時、血液透析しか説明されなかったため、透析のために仕事を辞めざるを得なかった人、透析施設に通うために家を引っ越した人たちがこられて、CAPD(自分の腹膜を使って自分で透析液を交換する治療法)があることを知っていたら、仕事も辞めずに済んだし、家も引っ越さないで済んだと悔しがって、口々に訴えられました。

末期腎不全になったら代替療法として血液透析とCAPD、腎臓移植が選択肢としてあることを、医療者はきちんと説明をしなければならないのですが、血液透析を手がけている施設では、なかなかCAPDの説明をしてくださらない所も多いのです。

その結果、わが国では30万人もいる透析患者のうち、CAPDの患者さんは4%にも満たない、約1万人しかいないのです。これは他の先進諸国に比べて極端に少ない数字です。

確かに日本の血液透析の技術は世界に冠たるものがありますが、現役で仕事をしている人や子供さんにはCAPDが向いています。また自宅に機械を設置して行う在宅血液透析も、患者さんのQOL向上には素晴らしいものがありますが、12年前にはまだ100人ほどの人しかやっていませんでしたし、現在もまだ300人程度と、なかなか普及していないのが実情です。

週3回、4時間かけて血液を浄化するのと、毎日、3~4回、1~1.5リットルの透析液を腹腔に注入、排出して老廃物を取り除いたり、夜中じゅう透析するのと、どちらが身体への負担が少ないかは自明の理です。

腎臓は尿を作るだけでなくホルモンの産生等も行っているので、できるだけ長く残存腎機能を残し、尿を出し続けられるCAPDを透析導入時に選択して、腹膜が疲れてきたら、血液透析に移行するというのが長生きのためには理想的なのです。その際も、毎日自分で短時間透析することも可能な在宅血液透析が良いのですが、わが国では普及していないのが実情です。

施設での血液透析一辺倒でなく、患者のQOLのために、いろいろな治療法があることを知ってもらう努力を当協会は続けているのです。

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