一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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先進医療技術で変わった患者の悩み

2011年4月1日

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梅本 佳代 氏 大動脈炎症候群友の会~あけぼの会~ 会長

大動脈炎症候群は、大きな血管が炎症を起こし狭窄・閉塞・拡張することで、症状が起こる稀少難病です。どこの血管に病変があるかで症状は大きく違い、めまいや立ちくらみ・頭痛・血管痛・狭心症・腎障害・全身倦怠感・易疲労etcと、同じ病気でも出る症状は様々です。

別名「高安病」ともいい、珍しく日本人の名前がついており、一昨年「高安病発見から1世紀─記念公開講座─」が開かれたように、発見されてから100年余りしかたっていない病気です。聞くところによると、発見された当初は病状が進むに任せるしかなく、頸動脈の炎症から脳に血液が行かないため、頭を上げることができず、あげくは眼の血管がやられ失明に至り、短命の方も多かったということです。

いまだに根治法がない難病であることに変わりはありませんが、その時代から大きく変わったことが二つあります。一つはステロイドの内服を始め免疫抑制療法を受ければ、病状を悪化させることが少なくなったことです。

もう一つは、画像診断機器などの進歩のおかげで、早期のうちに診断がつくようになったことです。会員の中でも、健康診断で発見され診断を受ける方も出て来ています。診断の際も、負担が大きかったカテーテルによる血管造影検査ではなく、CTやMR、PET-CTでも狭窄箇所が特定され、診断に至るようになりました。血管造影検査自体も、造影剤やカテーテルの進化で患者の負担は大変軽くなったと体感しています。

また、画像が鮮明になったことで、狭窄が小さい段階=病気の自覚がない段階で診断される方が増えている気がします。自覚症状がなく、安静を必要とするほどの症状ではないため、病気を持っての就職、妊娠出産など、病気との付き合い方に関する相談が増えているように思います。症状がないのに、ステロイドを服用しなければならないことに悩む方もいます。

そして、人工心臓弁、バルーンやステント、カテーテル等の発達により、弁閉鎖不全や狭窄した血管に対し、リスクの少ない治療が可能になりました。診断と同時に、大変な病気という認識すらできないうちに血管内治療を受け、狭窄部が全くない方もいます。その事も、健康な人並のQOLを求める理由になるのでしょう。

しかし、例え動脈の流れが正されたとしても、倦怠感や疲れ易さはどうしても残り、多くの薬を服用しているため、健康な人と同じという訳には行きません。やはり重症の方もおり、より早い根治法の発見を願ってやみません。

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