検診で予防できる子宮頸がん
2008年8月1日
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渡部 敦宏 氏 NPO法人 子宮頸がんを考える市民の会 事務局長
子宮頸がんの予防をめざして2005年3月に設立された〈特定非営利活動法人 子宮頸がんを考える市民の会〉はこの3年余り、子宮頸がんに対する理解と検診の重要性を訴える活動を続けてきました。子宮頸がん予防のシンボル「オレンジクローバー」キャンペーンを通して、1人でも多くの方に子宮頸がんは「予防できる病気」であることを知っていただきたいのです。
子宮頸がんは、原因がはっきりと解明された数少ないがんの一つです。誰でも一生に一度は感染するといわれる「ヒト・パピローマウイルス」(HPV)の持続感染が原因で引き起こされることが分かっています。HPVに感染してもほとんどの場合、その人の免疫力によってウイルスが体内から排除されます。しかし10人に1人ほど、ウイルスが排除されずに感染が長期化(持続感染)することがあり、ごく一部の人では長い年月(ウイルス感染から平均約10年以上)をかけ、前がん状態(異形成)から子宮頸がんへと進行するのです。たとえHPVの持続感染によって異形成が生じても、途中でHPVが消失し、それに伴って異形成も自然に治癒する場合があります。
定期的に検診を受けていれば、異形成の段階で確実に発見することができ、がんに進行してしまってから見つかるという事態には至りません。残念なのは欧米諸国の子宮がん検診率80%に比べて我国では20%程度と非常に低いこと。そのため適切な検査で予防できるがんに年間7,500人が罹患し、2,500人が亡くなります。がんは高齢者の病気というイメージがありますが、子宮頸がん発症のピークが30代と若年化していることも知ってほしいのです。
弊会では野外イベントやインターネット、メディアセミナーを通じて、「予防のための検査」の重要性について今後も啓発活動を行っていきます。
オレンジクローバーキャンペーン ホームページアドレス
http://orangeclover.org/lp201704/