1型糖尿病の子供たちの支援と社会の啓発に向けて
2007年8月1日
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岡本 宗重 氏 つぼみの会 代表
つぼみの会は1964年に設立され、患者の会としては最も歴史の長い組織の一つです。その頃はまだ子供にも糖尿病があるということが広く認識されておらず、当時の東京大学附属病院小児科医だった丸山博博士によって、糖尿病と血糖の自己コントロールを教育するために行っていたサマーキャンプ活動を母体に発足しました。患者(子供)だけではなく両親や家族にも加わっていただき、病気の克服と人間形成の両方を図っていこうというのが会の目的です。現在の会員数は約500人ですが、その後、全国各地にも同様の会ができ情報の交換などを行っています。
サマーキャンプで血糖値の自己コントロールを学ぶ
会の活動は発足当時からのサマーキャンプの開催、会報の発行、講習会、勉強会などの会員のための活動に加えて、学校や企業への1型糖尿病の啓発活動、公的医療補助の拡大運動といった対外活動も行っています。1型糖尿病患者はインスリンを毎日、数回にわたって注射することが必要ですが、医療技術の面では大変な進歩があり患者のQOLは向上しています。たとえば血糖値を測るのには、70年代は耳から採血しなければならず、注射器も消毒などといった手間がかかりましたが、現在はボールペン形状の機器で済みます。血糖値の検査も数秒で結果がわかり、最適なインスリンの補給が患者自身によって行えるようになりました。最近では一人ひとりのニーズに合ったさまざまな方式や機器も開発されていますし、こういった製品をより早く手に入ることができるようになれば、今後はさらに負担が軽減されるものと期待しています。ただ1型糖尿病に対する社会の理解はまだ十分とはいえず、啓発の面では今後も更なる活動の余地があるといえます。
医療技術、機器の進歩でQOL向上
対外活動としては現在、柔軟な医療制度の実現に取り組んでいます。現行では1型糖尿病患者は1回で30日分の薬剤しか処方していただけず、毎月学校や会社を休んで診察を受けなくてはならないのですが、こうした点の改善を求めています。つぼみの会は子供たちの支援がスタートでしたが、その後判明した、成人した後に発症した方々へのサポートも重要で、今後の検討課題のひとつと考えています。