一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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患者団体

人工透析の進歩と新たな課題

2006年7月1日

キーワード

金子 昇 氏 社団法人全国腎臓病協議会 常務理事・事務局長

「何かをしてもらう立場」から、社会の中で「何かをする」へ

人工透析は、昭和42年に医療保険の適用を受けました。しかし、当時は人工腎臓装置の絶対的不足と、高額な医療費負担に耐えられる一部の患者だけが治療を受けられる状況でした。そのような状況の中で「誰でも、いつでも、どこでも、安心して治療(人工透析)が受けられる」ことを目的に、昭和46年6月当会は結成され、会員数1,452人から活動をスタートしました。

当会の社会的使命が年々高まるなかで「何かをしてもらう立場」から、社会の中で「何かをする」ことが出来る自らの役割と立場を認識し、当事者としての運動だけではなく、広く市民などへの腎臓病の正しい知識の普及や社会啓発などを目的に、平成8年に、公益法人(社団法人)として新たなスタートをし、今日では、会員数も106,000人となりました。また、透析の技術も世界一へと向上し、血液透析、腹膜透析、腎臓移植と患者の選択肢も多様化してきました。

透析の技術が飛躍的に進歩した半面、透析導入患者の平均年齢が65.76歳、41.3%が糖尿病性腎症など、患者の高齢化と糖尿病性腎症患者の増加が顕著です。このため、障害の重度化、重複化で介護が必要な透析患者が急増し早急な対策が求められています。また、生活習慣病患者が急増する現在、人工透析に至らないための予防の啓発も欠かせません。

「いのちを輝かせるために」

結成当時1,000人程度であった透析患者が平成16年には、25万人に達しています。透析患者の増加による医療費の増大は、透析医療費年間1兆2,000億円とも言われる中で、医療保険制度改革や診療報酬改定の都度、治療に深刻な影響が出ており、それらへの取り組みが重要な活動の一つとなっています。

当会は、今年度結成35周年、法人設立10周年の大きな節目の年を迎えました。これまで活動の柱としてきた「腎疾患対策」を再検討し、現状に合致し更に公益法人としての社会的使命を自覚し、「新・腎疾患対策確立のために~一人ひとりが‘いのち’輝かせるために~」を提起し、今後の全腎協の活動の柱とし腎臓病患者の療養環境の更なる向上を目指し運動に取り組んでいきます。

参考文献:日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」

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