一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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患者団体

コンチネンスケアと先進医療

2005年10月1日

キーワード

西村 かおる 氏 日本コンチネンス協会 会長

コンチネンス(Continence)という言葉は一般的にはほとんど聞き慣れない言葉ですが、否定形である失禁(Incontinence)が肯定形に変化したものです。コンチネンスを日本語にすると「排泄のコントロールがついている状態」、日本語の専門用語としては「禁制」がありますが、この言葉もあまり普及していないため、私たちはコンチネンスという言葉を新しい概念としてそのまま使用しています。否定形から肯定形に変化したコンチネンスケアとは、①排泄障害の予防②排泄障害の治療③排泄障害が不可逆的な場合、それらが社会生活上問題にならないマネジメント、という3方向を示します。

失禁などの排泄障害は、本人はもちろんのこと、周囲の人にとっても著しい問題を引き起こすにも関わらず、つい10年ほど前までは「年のせい」と無視されることが多い障害でした。それだけではなく、問題が表面化することさえも遅れ、統計では健康な女性の3人~4人に1人が失禁症状を持ち、非常に多くの人が持つ症状であると近年になってわかってきました。従って、先進医療の恩恵に預かることが大幅に立ち後れている分野といえると思います。

遅れているとはいえ他の分野と同様、画像診断技術の進化は排泄障害の原疾患の発見に役立っています。また膀胱容量は排尿障害の治療、ケア上で非常に重要ですが、尿量測定専用の超音波は小型化され、モニターもできるなど進化が続いています。また治療法としても、腹圧性尿失禁の術法とそれにあったキット、人工括約筋、電気や磁気刺激などの治療用具、新薬の開発など、今後に期待するものも多いです。

しかしながら、加齢や認知症、神経損傷にともなう排泄障害の治療・ケアは困難なことが多く、特に排便に関してはそのメカニズムさえ明確に解明されたわけではありません。ゲノム医療の発達はそのような未開のコンチネンス領域にも恩恵を与えてくれるのでしょうか。それと同時に、人の手によるケアの重要さもバランス良く提供していける社会を目指す会として日本コンチネンス協会は活動していきたいと考えています。

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