ICD(植込み型除細動器)と先進医療技術
2005年6月1日
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福本 順一 氏 ICD友の会 副会長
ICD(植込み型除細動器)が保険適応され、9年が経ちました。患者数6,500人、認定施設は225施設(2005年ICD友の会発表)、主に東京・大阪を中心に全国へと広がり、患者のQOLの向上に役立っています。
年々、先進医療技術により機器は進歩しているので、「形状」は小さく丸みを帯び、「重量」は軽くなる、「バッテリーの寿命」は伸び、「性能」はいろいろな症状の患者へ対応出来るようになりました。ハードの面では患者に対して良い方向へ進んでいますが、心のケアが遅れているのが現状だと思います。症状が出てしまい、いきなり植え込みを勧められるケース、運良く検査で発見され植え込みを勧められるケース、どちらにしてもゆっくり考える時間がないケースが非常に多く、自分の心が取り残される場合があります。
患者は以前の生活を取り戻せるのか(今後の生活、日常生活の注意点、職場への復帰)が非常に心配です。主治医、看護師、家族、ソーシャルワーカー、患者会などが一体となり、患者が現在の状況を少しでも早く受け入れられるようにサポートする事も治療の一部と考えています。
友の会活動としては、ICD先進国の米国や他の国の患者との交流を図り、取り残される心の問題を、患者自身が情報交換をする事により、心のお手伝いが出来ればと考えております。不安を感じている患者さんには、正しい情報を、速やかに発信し、以前の生活に少しでも近づけて頂けるよう今後とも啓発活動をしていきたいと考えています。
最近では、AED(体外式除細動器)の普及がメディアなどでも取り沙汰され始めていますが、米国などでは“Good Samaritan Law”「善きサマリア人法」善意で救命手当等の救助行為を保護する法律がありますので、ぜひ日本でも法律の改正などを行っていただき、一般の方などにも積極的な救命に参加して頂けるよう、理解と協力をお願いしていきたいと考えています。