先進医療と共にQOL向上を図る
2004年11月1日
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日高 進 氏 日本心臓ペースメーカー友の会 副会長
日本心臓ペースメーカー友の会は徐脈性の不整脈による症状を防ぐために心臓ペースメーカーを装着している人の患者会です。全国に装着者は30万人と推定されていますが、当会にはこのうち約4,000人が参加し、支部も全国で24に達しICD(植え込み型除細動器)装着の会員も増えつつあります。
日本におけるペースメーカーの歴史は1963年(昭和38年)、東京大学木本外科で国産第一号が植え込まれたことに始まります。当時は直径8センチメートル、厚さ2センチメートル、水銀電池のため寿命も1~2年と短かったのですが、その後多くの先端技術開発の恩恵で小型化はもちろんのこと装置の寿命も7~8年と飛躍的に長くなりました。当初は装置が大きいという問題のほかに電極破損、手術創の感染、ノイローゼなどの問題が続出しなんらかの対応を求める声が高まりました。そこで東大胸部外科の先生方の主導でペースメーカー植え込みの患者、家族、医師、エンジニア関係者によって’66年5月「ペースメーカー友の会」を発足させました。活動は’70年6月に現在の「日本心臓ペースメーカー友の会」に引き継がれ、今年で35年を迎えています。
会の活動によって初期の段階から情報公開されたことが、その後のケアや機器の改善、開発に結びついたことが多く、創成期に活躍された方々に感謝いたしております。初代会長に就任された早川寛齊氏(産婦人科医)は医師として第一号のペースメーカーを埋め込まれた方で、93歳に至るまで会の発展に注力されました。「感謝」「報恩」「奉仕」を会の理念として地道に活動、’93年には保健文化賞を受賞されました。この理念は現在も生き続けており、本部、各支部での講演会、Q&A(医師と患者の質疑応答の会)、勉強会、茶話会、懇親会などを通じQOLの向上を図っています。
会誌「かていてる」を発行し情報の提供につとめているほかAED(自動体外除細動器)の一般使用や電磁干渉などにも取り組んでいます。電磁シールドの問題、先進医療機器の素早い導入などまだ解決しなければならないテーマもありますので、今後とも会として積極的に取り組んでいきたいと考えています。