一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

AMDD logo

一般社団法人
米国医療機器・IVD工業会

患者団体

先進医療技術と糖尿病について

2004年11月1日

キーワード

田村 允宏 氏 東京都糖尿病協会 会長

平成14年の厚生労働省の発表によると、糖尿病患者はその予備軍を含めると1,620万人に上るといわれています。平成9年では、1,370万人でしたので、5年間に250万人も増えています。この傾向からみますと本年は1,700万人を超しているかもしれません。このような状態にも関わらず実際に治療を継続している人は、3割以下といわれており大きな問題だと思います。

病気は、すべて早期発見・早期治療が大切です。「がん」と診断されれば、すぐ治療に入りますが、糖尿病の場合は聞き流すか、極端に落ち込む割に放置する人が多いのです。

しかし、予備軍といわれる人でも放置するとその間確実に病気は進み、何かの不調を感じて医師の診断を受けたときは、網膜症、腎症、神経症障害の合併症を起こしていることが多いものです。
糖尿病は、(1)患者の増加は伝染によるものではなく、生活習慣による(生活習慣に注意が必要) (2)合併症を併発するまでは、ほとんど病気であることを感じない(検査の必要) (3)その治療は、医師の治療だけでなく、患者本人が血糖値を管理することによって成り立つ(糖尿病に関する正しい知識と治療の技術=自己血糖測定・自己注射=の習得の必要) (4)現在のところ糖尿病の完治はないが、一病息災で、血糖管理が良ければQOLを下げることなく生活できる(食事療法、運動療法、薬事療法の継続の必要)、という病気です。

このことから、糖尿病では早期発見、血糖値の上手な管理(自己管理)が何より大切ということになります。現在では、医療機関での検査の正確性はもちろんのこと、軽く微量の採血での自己血糖測定器ができています。
また、治療のためのインシュリン注射も、インシュリンの種類の多様性と注射器の利便性において非常に進んだものができて、血糖値管理は大変楽になりました。
30年前には、自己測定器など目にしなかったことを思えば、格段の進歩をしています。まさに先進医療技術の恩恵により、良い自己管理を継続し毎日を前向きに楽しく生活している人の多いことに感謝する次第です。

一方、治療の継続のためには「正しい知識の習得」も欠かせません。それには、共に学ぶことのできる糖尿病講習会等への参加がお勧めです。現在、日本糖尿病協会(東京都糖尿病協会はその東京支部)では、共に学び糖尿病予防活動に参加する会員を募集しております。多くの方の参加をお待ちしています。

会誌「かていてる」を発行し情報の提供につとめているほかAED(自動体外除細動器)の一般使用や電磁干渉などにも取り組んでいます。電磁シールドの問題、先進医療機器の素早い導入などまだ解決しなければならないテーマもありますので、今後とも会として積極的に取り組んでいきたいと考えています。

医療技術・IVDをめぐる声一覧に戻る
pagetop