一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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患者団体

ジストニア・ジスキネジア患者の現状への対応と課題

2019年7月1日

キーワード

川島 秀一 氏
ジストニア・ジスキネジア患者の環境改善を目指す会 代表 

私たち「ジストニア・ジスキネジア患者の環境改善を目指す会(ジス環境改善会)」は2017年10月に発足し、同病者の治療・生活・就労環境の改善を目的として活動しています。この両疾患は、脳内の運動命令系の異常により特定の筋肉が勝手に収縮(ジストニア)や運動(ジスキネジア)を起こし、思い通りに動かせなくなる病気です。

いずれも症状の部位・範囲や重症度は患者によってまちまちであり、ジストニアでは遺伝性・職業性・薬剤性・他の疾患に伴う二次性・外傷性・心因性など類型も多様(ジスキネジアでは薬剤性がほとんど)なため、患者は幅広い関連情報を必要としています。当会はSNSのミクシィ上に自由な情報交換の場を設けることでそのような患者の要望に応えつつ、ホームページやフェイスブック、ツイッターで多様な発信を続けるとともに、専門医や関係者とも広く交流しながら、行政や学会、関連企業への陳情活動を企画・実行しつつあります。

両疾患の治療法には、原因薬の中止・変更(薬剤性の場合)、ボツリヌス治療、服薬、外科手術、鍼治療などがありますが、いずれも対処療法であり、大幅な改善をみる患者は全体の一部に留まっています。ボツリヌス治療は比較的改善率が高く、恩恵を受けている患者は大勢いますが、針筋電図検査や超音波検査の併用により治療効果を高める指針が臨床現場に十分浸透していないことは一つの課題と思われます。

外科手術のうち脳深部刺激療法(DBS)やバクロフェン髄注療法(ITB)では、合わせて数百人の患者が恩恵を受けていますが、埋め込む機器類の耐久性・大きさや異物反応に課題があるようです。その点が、体内に機器を残さない凝固術に再び注目が集まる一因となっています。

一方、脳科学や再生医療の分野では技術の進歩が著しく、人体に対する全く新たな有機的理解も進むなかで、ジストニア・ジスキネジアという「脳神経ネットワークの病」にいずれ画期的治療法が試みられる日が来ることにも一縷の期待を抱いています。

川島 秀一 氏
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