神戸医療産業都市における医療機器開発について(上)
2015年10月1日
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今西 正男 氏
神戸市理事(医療産業都市・企業誘致推進担当)
1. はじめに
神戸市では、平成10年(1998年)の阪神・淡路大震災からの創造的復興の取り組みの一つとして、①雇用の確保と神戸経済の活性化、②先端医療技術の提供による市民福祉の向上、③アジア諸国の医療水準の向上による国際貢献の3つの目的に掲げて、「医療産業都市構想」をスタートしました。
神戸において、医療産業の集積はゼロからのスタートでしたが、構想に賛同いただき、毎年多くの企業に継続して神戸に拠点を設けていただいています。近年では、ソニー・帝人・カネカ・富士フイルム・ゼオンメディカルなどグローバルに展開する優良企業にも次々と進出いただき、平成27年7月15日には300社目の企業の進出を迎えることができました。
神戸医療産業都市は、①理研・大学などの基礎研究産学連携拠点、②中央市民病院を中心とした高度専門病院群、③300社超の医療関連企業群において、実効性の高い産学官連携を実現し、国内最大級のバイオ・メディカル・クラスターに成長を遂げました。
2. インフラの整備状況
医療機器開発に必要なインフラとしては、基礎研究産学連携拠点では、理化学研究所、先端医療センター(研究所)のほか、神戸大学、甲南大学、神戸学院大学などの6大学が立地しております。更に、この春には、理化学研究所の神戸における4つめの施設として「融合連携イノベーション推進棟」が、更には抗体医薬の国際基準に適合して製造する高度・高効率な次世代の製造技術開発を行うためのGMP施設「次世代バイオ医薬品製造技術基盤開発施設」が開所しました。
また、臨床の場であり、医療機器のニーズの宝庫である高度専門病院群においても、中核病院である中央市民病院、世界初のiPS細胞移植を成功させた先端医療センター病院のほか、がん(放射線治療などの低侵襲治療)・リハビリ・循環器・こども領域などに特化した高度専門病院群が既に神戸医療産業都市の中核施設として集積しており、平成28年度には県立こども病院(小児がんに重点をおいた新粒子線治療施設を併設予定)も移転・開院予定であります。
このように、医療機器開発に必要なインフラ施設について、企業のニーズを踏まえ年々拡充を図っており、今後もより魅力的な環境をできるよう、更なる充実を図っていく予定です。
((下)は、2016年1月発行予定の第21号に掲載します)