販路を見据えた医療機器の開発をめざして ~みえライフイノベーション総合特区の取り組み~
2015年5月1日
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高村 康 氏
三重県健康福祉部 ライフイノベーション課長
三重県は製造品出荷額などが10兆3,488億円の全国第9位(平成25年工業統計調査結果速報)であり、輸送用機械器具、電機・電子産業、石油化学の3業種が全体の67%を占める工業県です。また、県民一人当たりの製造品出荷額などは全国第1位となっています。
一方、これらの業種は景気の影響を受けやすいことから、高齢化社会を迎えニーズが高く、景気の変動に左右されにくい医療・健康・福祉分野の産業を振興することにより、強じんで多様な産業構造へ転換することが重要となっています。
このため、三重県では同分野の産業振興を目指して、2002年度から「みえメディカルバレープロジェクト」を開始し、「みえ治験医療ネットワーク」の構築など産業の基盤づくりを産官学民が連携して進めています。
また、2012年には国から「みえライフイノベーション総合特区」の指定を受け、県内7カ所の研究開発支援拠点の設置や県内医療機関における医療情報の集約・活用などにより、画期的な医薬品や医療機器などの創出に向けた取り組みを進めています。
三重県は、医療機器の生産金額が全国第39位と低位にあります(平成25年薬事工業生産動態統計調査)。このため、県内の高いものづくり技術を有する異分野の企業に対して成長性の高い医療・健康・福祉分野に参入支援を行っています。
異分野からの参入に際し、課題となる医療・福祉従事者との接点や販路開拓への対応として、製品開発の初期段階から販路を見据えたものづくりができるよう、医療機器メーカーと県内ものづくり企業とのマッチング機会を創出し、医療機器メーカーのノウハウやネットワークを取り入れた製品開発を進めています。
現在は、東京都本郷地区の「商工組合日本医療機器協会」と連携し、同地区において県内ものづくり企業の製品・技術を紹介する展示会を開催しており、同地区の医療機器メーカーとの取引が始まったり、出展企業間での共同開発が開始されたりするなど多くの成果が得られています。
企業間のマッチングには、三重県と三重県工業研究所、(公財)三重県産業支援センター、三重大学など産業支援機関と三重県が緊密に連携しており、医療機器開発に精通した専門人材を配置することで製品開発を後押ししています。
医療機器開発の連携にあたっては海外の企業や研究機関も視野に入れており、北米などの医療機器メーカーとの連携も進めていきたいと考えています。今後、AMDDの皆様ともコラボレーションし、本県企業が持つ優れたものづくり技術や産官学民による研究開発体制をご活用いただきながら、医療機器の開発に役立てていただければ幸いです。