一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

AMDD logo

一般社団法人
米国医療機器・IVD工業会

報道・医療関係者

社会保障・税の一体改革と医療・介護制度改革

2014年1月1日

キーワード

唐澤 剛 氏
厚生労働省 政策統括官(社会保障担当)

 

社会保障・税一体改革の経過と社会保障制度改革推進法

社会保障・税の一体改革は、我が国社会経済の変化を踏まえて、社会保障の充実・安定化と財政健全化という2つの目標を同時に達成することをねらいとするものです。

この改革は2011年の民主党政権下で検討が始まり、2012年の国会には関係法案が提出されました。この結果、民主・自民・公明3党による合意が成立し、合計10本の法律が成立しています。

まず、今後の社会保障制度改革の基本的な考え方・方針などを示す「社会保障制度改革推進法」が成立し、さらに、2014年4月から8%に、2015年10月から10%に消費税を引き上げることなどを内容とする国税、地方税の2本の改正法が成立しました。また、年金については、4本の法律が成立し、基礎年金の国庫負担を従来の3分の1強から2分の1へ引き上げることの恒久化、サラリーマンの被用者年金制度一元化、年金の受給資格期間を10年に短縮すること、遺族基礎年金の父子家庭への支給対象拡大、パート労働者など短時間労働者に対する厚生年金(及び健康保険)の適用拡大などの改正法が成立しました。さらに、低所得高齢者・障害者等への福祉的給付(年金生活者支援給付金)も設けられています。少子化対策については、子ども子育て新制度に関する新法、待機児童解消の推進、認定こども園法の改正など3本の法律が成立しました。

社会保障制度改革国民会議の報告書

社会保障制度改革推進法では、新たに「社会保障制度改革国民会議」を設置し、その検討結果を踏まえて、推進法施行1年以内に法制上の措置を講ずることとされています。このため、清家篤・慶応義塾長を会長とする委員15名の会議が発足し、2013年8月6日にその報告書がとりまとめられました。

報告書総論では、意欲のある人々が働き続けられ、すべての世代が相互に支え合う全世代型の社会保障をめざす、高齢化最先進国として成熟社会にチャレンジしていくことの重要性を強調しています。また、当面の消費税の引き上げに対応して今後4~5年間に集中して実施する改革、中長期の視点に立って2025年以降の本格的な少子高齢社会を見据えた改革の2段階の改革を提言しています。

先に述べたように、年金と少子化の分野ではすでに多くの法律が成立していますが、医療・介護分野ではまだ本格的な改正法は成立していません。このため、報告書各論の重点は医療・介護制度改革に置かれており、具体的な内容は、医療・介護提供体制の改革と地域包括ケアシステムの構築、国民健康保険の財政運営の責任を都道府県が担うことなど医療保険制度の改革、重点化・効率化と医療のあり方の見直し、難病対策の法制度化などです。

社会保障制度改革プログラム法の成立と消費税増収による社会保障の充実

こうした今後の社会保障制度改革の全体像と進め方を盛り込んだ「社会保障改革プログラム法(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律)」が2013年秋の臨時国会に提出され、成立しました。

今後、このプログラム法に定められた検討項目、法案の提出時期の目途などに沿って、順次改正が行われる予定です。2014年の通常国会には、病床の機能分化と連携、医療提供体制の再構築と地域包括ケアシステムの構築を目指した病床機能報告制度の創設と地域医療ビジョンの作成等を内容とする医療法改正案が提出される予定です。また、地域包括ケアの構築に向けた地域支援事業の見直し、介護予防の推進、在宅・施設サービスの見直しなどを内容とする介護保険法改正案と難病対策の新法も提出予定です。社会保障・税の一体改革では、消費税引き上げの5%分のうち、4%分は社会保障の安定化と財政改革のために、1%分を社会保障の充実のために使うとされています。

1%分は2.8兆円程度(2017年度ベース)で、このうち、少子化には0.7兆円程度を、医療・介護には1.5兆円程度を、年金には0.6兆円程度を充てる予定です。

医療技術・IVDをめぐる声一覧に戻る
pagetop