一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会

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報道・医療関係者

中医協の取材から見た医療機器業界の課題

2012年4月1日

キーワード

牧 潤二 氏
医療ジャーナリスト

 

医療材料の専門誌に「医療材料に関する行政・中医協の動き」という記事の連載を執筆しているため、中央社会保険医療協議会(中医協、森田朗会長)の保険医療材料専門部会は必ず取材に行くことにしています。そこで、2012年度診療報酬改定を通して見えてきた医療機器業界の課題について、要点をまとめてみます。

中医協の取材記者が医療機器について理解しにくい理由の一つとして、薬事法では医療機器と呼ばれているものが、中医協では保険医療材料専門部会の扱いとなり、「医療材料」と総称されていることが挙げられます。名称の混用があるのです。また、保険医療材料は約700の機能区分があり、その区分の中では同一の値付けがされていることも、取材経験の浅い者はよく知りません。そのような値付けでは、イノベーションへのインセンティブがあまり働かない。これが、個別の銘柄ごとに値付けをされている医薬品と大きく異なるところです。一方で、医療材料/医療機器では治験がほとんど行われていないのは、なぜなのか。多くの記者は答えられないでしょう。このような根本的なことについて、レクチャーが必要かもしれません。

2011年9月28日に開催された中医協・保険医療材料専門部会で、医療機器業界に対する意見聴取が行われました。値付けの問題(前述)を踏まえて、業界側は「製品別収載制度」だけでなく、それに至るまでの経過措置も提案したのですが、承認されませんでした。その提案が同部会委員に拒否されたというよりも、議論がかみ合わなかったように見えました。今後、議論をかみ合わせるという観点から、新たな取り組みが必要だと思われます。

ここで、業界側の成果も挙げておくべきでしょう。保険医療材料専門部会で業界側を代表する二人の専門委員が、エビデンスとしての経営データなどを示しながら積極的に提案・主張したことで、この2年ほどの為替レートの激変、急激な円高に対応し、2012年度からは保険医療材料の再算定において激変緩和措置がとられることになりました。また、2012年1月25日に開催された保険医療材料専門部会で、2012年度の保険医療材料制度の見直しの内容が決まりましたが、医療材料開発のインセンティブについて若干の配慮もなされています。

2012年度診療報酬改定の取材をしてきた者として、中医協での業界に対する意見聴取の意義、専門委員の重要性をあらためて認識させられました。

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