医療を支えるチーム医療 第4回 診療放射線技師
2020年6月1日
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佐野 幹夫 氏
公益社団法人 日本診療放射線技師会 副会長
チーム医療とは、医療が高度化、複雑化していくなか、多種多様な専門職種が高い専門性を生かし、目的と情報を共有し、業務を分担しつつ互いに連携・補完し合い、患者さんへ安全な医療を提供する協働医療と言えよう。医療社会や患者さんのニーズが多様化すると共に患者さんのQOLを重視する傾向にあり、専門職種としての知識・技術向上のみならず、患者さんの肉体・精神の両面に対し継続的、総合的なケアを提供できる体制作りが求められる。まさに高齢化社会を迎え、病気の診断・治療から予防医学へ、治癒の技術からQOLの技術へと医療は急速に変化しつつある。そして我々は放射線診療における画像診断と治療に携わる専門職種として、「患者さんへの侵襲を少なく、かつ正確で的確な情報を提供する」ことが重要である。
近年、医療のIT化が進み、多くの医療施設でカルテの電子化とともに画像保存通信システム(PACS)が導入され、医療画像の一元管理が可能となり、臨床現場の業務内容は一変した。特に放射線部門の業務は、放射線装置のデジタル化によって技術革新が起こり、高度医療機器の発展に繋がった。そして新たに画像情報の専門職種として、院内に展開する画像管理や最先端の検査技術が続々と生み出され、臨床現場では3D画像構築や手術支援などのナビゲーションといった新たな業務も展開されてきた。
診療放射線技師の業務には、X線を発生させる、医師以外の業務独占行為があり、専門性の高い職種であるためチーム医療への参画の間口が狭いと感じる。しかし、日々の検査業務では、医師や看護師など様々な医療スタッフと協働で行うものも多く、スタッフ間のコミュニケーションが必要である。特に血管撮影検査やX線TV検査などでは、患者さんはもとより医療従事者に対する、診療放射線技師による医療被ばく管理が重要である。
今後、臨床現場にAIやロボットが導入され、業務も変化すると予想されるが、どのように変化しても医師や他の専門職種との連携は必要であり、チーム医療の一助を担う専門職種として医療安全や医療の質向上を目指し、「患者さんの利益」への貢献に努めていきたい。