神奈川の新たな取り組み「ヘルスケア・ニューフロンティア」政策
2016年6月1日
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山口 健太郎 氏
神奈川県ヘルスケア・ニューフロンティア推進統括官
神奈川県では、超高齢社会を乗り越えるため、「最先端医療・最新技術の追求」と「未病を改善する」という2つのアプローチを融合した「ヘルスケア・ニューフロンティア」政策を推進しています。その取組みのひとつとして、最先端医療機器の早期実用化を促進するため、平成26年9月に「かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター」を設置しました。センターでは最先端通信技術の研究開発実績を有する横浜国立大学と連携して、最先端の医療機器に係る「安全性・有効性の評価」の研究、開発支援や人材育成などを行っています。
そして、44の企業などが参加する「コンソーシアム」を立ち上げ、それぞれの企業が開発している医療機器について、相互に情報交換を行いながら、その安全性、有効性及び品質の評価に必要な検査や評価システムの構築に取り組んでいます。
この他、コンソーシアム企業などが参加して、月に一度開催している「全体会議」においては、研究者や外部有識者が医療機器の開発などに関する講演を行い、人材育成を進めています。さらに、企業が開発している医療機器について横浜国立大学の研究者が助言を行うなど、速やかな薬事承認に向けた開発支援にも取り組んでいます。
また、研究機関や関連企業が多数集積する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」と、高いものづくり力を有する中小企業などが参画する「さがみロボット産業特区」という、2つの特区を持つ本県の特色と強みを生かした「医工連携」の取組みも推進しています。
この取組みでは、医療機関や医療機器メーカーの協力を得て、医療現場の要求事項(ニーズ)とものづくり企業の技術(シーズ)を結びつける場として、セミナー・交流会を開催しています。
さらに、医療機器産業は他の機器と異なり、開発に関する規制が多く、そのことが中小企業などの新規参入を妨げていると言われてますが、このハードルを下げるため「医療機器相談窓口」を開設し、課題解決に向けた助言などの支援もしております。
加えて、事業化に向けた具体的な取組みを進める企業には「医療機器開発支援モデル事業(個別支援)」として、成功事例の早期創出に向けて専属のコーディネーターが薬事戦略や事業戦略などの支援を行っています。
神奈川県ではこのような取組みを通じて、県内で研究開発された医療機器の早期実用化、医療機器産業への参入促進を目指しています。