神戸医療産業都市における医療機器開発について(下)
2016年1月1日
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今西 正男 氏
神戸市理事(医療産業都市・企業誘致推進担当)
(前号より続き)
3.医療機器開発支援の取り組み
神戸医療産業都市では、神戸市と神戸市が医療産業都市構想を進めるために設置した外郭団体「(公財)先端医療振興財団」が中心となって、企業の皆様方の医療機器開発を支援しております。近年、自動車産業や家電産業などの異業種から医療機器産業への進出を目指す企業が増加するなど、ニーズ・シーズのマッチングから販売までの入口から出口までの一貫した、手厚い支援が求められる傾向にあります。
そのため、神戸医療産業都市では、数多くの臨床医・医療機器開発経験者などにご協力いただき、優れた技術シーズを有する企業に対して、医療現場におけるニーズとのマッチングから、事業化戦略の立案、開発企業群の組成、試作品の製作、販売戦略、販路開拓、販売、医師などへのトレーニングなどの医療機器の事業化に必要な各段階での支援を、トータル的に提供する「医療機器事業化促進プラットフォーム」事業を推進しております。これまでも多くの企業にご利用いただいており、既に商品化に成功した事例もでてきています。加えて、首都圏及び海外(ドイツ・タイなど)の展示会へ共同出展の機会を提供することにより、販路の開拓、パートナー企業の発掘などを支援しています。
また、常日頃から市・財団職員が、企業の要望を丁寧に聞き出し、アカデミアや必要な技術を有する企業との個別マッチング支援、医薬品医療機器等法など各種規制への対応支援などにより、迅速かつ適切な支援を提供しております。
さらに、神戸医療産業都市では、分野別の第一人者の方をお招きした特別講演と進出企業の技術紹介からなる「クラスター交流会」を毎月開催し、毎回100~150名程度の参加者があり、好評をいただいております。
更には、トレーニング用オペ室などを活用した生体のブタを使った医師の手術手技トレーニングや、カテーテル、ステント、インプラントなどの医療機器の研究・開発・評価などが可能な国内で唯一の公的な施設である「神戸医療機器開発センター(MEDDEC)」を活用して、国内外多くの企業が医療機器開発に取り組んでいます。
4. 「アジアNo1のバイオメディカルクラスター」を目指して
神戸医療産業都市では、クラスターを構成する基礎研究産学連携拠点、高度専門病院群、医療関連企業の更なる集積をはかる一方で、積極的にクラスター内でのコラボレーションを活性化させ、医療機器開発企業の事業化を支援することによりこれまで発展してきました。今後も、「アジアNo1のバイオメディカルクラスター」の形成を目指し、企業の皆様の事業化を支援してまいります。