乳房・子宮
女性特有の疾患として、子宮がん、そして乳がんがありますが、日本の女性が最もかかりやすいがんが乳がんです。患者数は年々増加し、年間約72,500人が乳がんと診断されるに至っています(2014年)が、乳がんは早期に発見し、治療すれば死に至る病ではありません。
子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。特に子宮頸がんは、女性のがんの中では乳がんについで多く、日本では毎年約10,900人の女性が新たに罹患し、約2,900人が死亡しているといわれています(2014年)。そして子宮頸がんは20~30代の若い女性に急増していることが問題になっており、重症化を防ぐためにも定期的な検診を受けることが重要です。
一方、子宮筋腫は子宮体部にできる両性の腫瘍です。
PET-CT検査
PET-CTはPET(ペット=陽電子断層撮影装置)とCT(コンピューター断層撮影装置)を組み合わせた診断装置です。微量の放射線を出す薬剤を静脈注射してから撮影を行い、薬剤の集積部位から放出される放射線を検出し生体の機能を観察します。
例えばブドウ糖に似た薬剤(FDG)を使用する場合、ブドウ糖が正常細胞よりも分裂の盛んながん細胞などに集積する現象を利用してがんの診断を行います。CT の解剖学的な形態画像とPET の生理学的な機能画像の組み合わせにより、診断精度が高まりました。脳疾患や心疾患の検査にも使われます。
子宮頸がん細胞診
液状化検体細胞診(LBC)という方法では、子宮内腔を擦過したブラシを専用の保存液の中ですすぐことにより、採取した内膜細胞を無駄なく保存液中に懸濁して回収できます。また機械的に均一にガラス面に塗抹するので、高品質で均質な細胞標本を何枚も作成することができます。そのため免疫染色の診断手法を導入することもでき、細胞採取量が増えたため診断精度が大幅に向上しました。 内膜ブラシは非常に細く、可塑性もあって挿入が容易なので、ほとんど痛みなく十分な内膜細胞採取が可能になっています。
検査結果はクラスⅠ~Ⅴで示され、Ⅲa(軽度から中等度の異形成の疑い)、Ⅲb(高度の異形成の疑い)、Ⅳ(上皮内がんの疑い)、V(浸潤がんの疑い)などと判定され、これらはすべて精密検査の対象となります。最近は、子宮頸がんの原因ウイルスであるHPV 検査と併用されることが多くなりました。
MRガイド下集束超音波治療
MRガイド下集束超音波治療は、症候性子宮筋腫の患者を対象に、筋腫に伴う症状を改善する治療法です。腹部体外から子宮筋腫組織に超音波を照射し、筋腫組織に超音波を集めて局所的に加熱し壊死させます。MRI 装置によって、治療を行う位置や温度変化をモニタリングしながら進めるので、安全面でも優れています。皮膚を傷つけず、麻酔や輸血も不要で、合併症のリスクが少ないため、日帰りあるいは1泊程度の入院で行え、低侵襲でQOL改善につながる治療法です。